「俺、みょうじに言ったつもりなんだけど」
確かに帰りにケーキ奢ってやるとはいった。でもその場にはみょうじであって、残りの四人には言った覚えはない。というかどうしてこうなった。
「いやな、休み時間になまえが俺に教えてくれてな」
「それを隣にいた俺も聞いてたわけだ」
「そんで今日の練習あるのか確認しに行ったときにたまたま耳に入ったんス」
「お(れ)は移動教室のときみょうじ先輩が教えてく(れ)ました!」
「ほとんどみょうじの口の軽さのせいじゃねぇか!」
みょうじをみればすでに小堀を盾にしてやがる。
他の奴らはなんだ!俺は女の子には奢るけど金持ってる野郎にはやらないからな!そんな俺見たって何にも出てこないぞ!
「だってケーキってコンビニでしょ?だったらみんな一緒でも困らないでしょ?」
「...は?」
こいつ、おれのことをなんだとおもってるんだ。
「そんなやっすいもん食わすわけないだろ。俺が。」
「...へ?」
小堀の後ろから俺をみるみょうじは呆気にとられてる。
コンビニって...。みょうじも女の子なんだからそこはおしゃれなケーキ屋とかカフェとか想像してもいいんだぞ。
「なんだなまえ、ずっとコンビニだと思ってたのか?」
「だ、だってそんな高いもの買ってくれるなんて思わないから...」
「コンビニなら俺たちついていかないって」
「...そうなの?」
「おう」
小堀、おうじゃない。というかそこまでわかっててあえてついてくるというのか。とりあえずここは俺の意思をはっきりと言っておこうか。そうでもしないと本当に俺がこいつらに奢るはめになる。
「俺はみょうじにしか奢らないからな!」
「ああ知ってる」
すると笠松がそう言う。なんだ、わかってるんじゃないか。
だったらなんでついてくる?別にケーキが好きとか甘いものが好きとかないだろこいら。
「先週は随分世話になったしな。馬鹿二人が再試することなく練習試合出れたし、勝てたからな。」
...ほんとにこいつって男前だよな。これで女の子苦手とかなければ俺勝ち組じゃね?いやナンパの話だけどさ。
みょうじを見れば今度は笠松を見てびっくりしたのか目を大きくあけている。小堀はそんなみょうじによかったな、なんて言って頭撫でてやがる。
「俺もみょうじ先輩にケーキ奢るっスよー!」
「お(れ)も!お(れ)も!!」
黄瀬も早川も案外乗り気だ。小堀の後ろに隠れたままのみょうじを引っ張りだして最近みつけた駅前のカフェまで引っ張っていこうと意気込む。そうすれば後ろから奴らはついてくる。
よかったなみょうじ、お前やっぱりみんなから愛されてるよ。