突然ガタガタと扉が大きい音をたてた。私はびっくりして肩を上下させた。

換気のために申し訳程度に設置された窓の外はもう暗い。太陽は沈んでしまったのだろう。少し肌寒いのはそのためなのか。

そんなことより今の私には目の前で音をたてる扉が怖くて仕方ない。一体なんなのだ。これから何をしようというのか。
膝を抱えていた手で今度は耳を塞いだ。怖くて目も強く瞑った。

でも聞こえた。扉の重い音、それから、



「なまえ!!」



私の名前。

目を開けば校庭に設置された電灯の光が目に差して痛かった。でもその光を遮るように立っていたのは、確かに浩志くんに見えた。
浩志くんはすぐに座り込んだ私のところにきてしゃがんで顔を覗き込んでくる。



「大丈夫か、って怪我してるから大丈夫じゃないよな。すぐ保健室連れてってやるから。」


「こ、こうじく、ん」


「ん?ああ、安心しろ。ちゃんと抱えてくから。」



そう言うと座っていた私を簡単に持ち上げてしまった。日頃鍛えてるから簡単なんだろうけど、私重いからすぐに降ろしてほしいけど口が上手く動かない。思わず彼の服を掴んでしまったが、よく見ればそれは見覚えのあるバスケ部のジャージ。



「ごめんな。すぐに見つけてやれなくて」


「あ、の...!」


「H.R.にもいなくて委員会あるような話してなかったし練習も見に来ないし、集中できたもんじゃなかった」


「...ごめんなさ、い」


「でもよかった。怪我してるけど、無事でよかった。」



そう言って強く抱きしめてくれた。
そこで私はやっと実感した。助けてもらったんだって。気付いた瞬間鼻の奥がツンてして視界がぼやけてくる。浩志くんは見計らったように優しく頭を撫でてくれた。高校生活も終わりだというのに、こんな子どもみたいなことは恥ずかしいけれど、いやではなかった。

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