少し強い力で背中を押された。
その拍子に抱えていた用具をばらまいてしまった。そして転がった用具に足をとられて前に倒れてしまう。
ガラガラと背後で重い音が聞こえる。急いで体を起こして振り返る頃には外と完全に遮断されていた。

私はただ体育の授業の後片付けをしていたはずだ。

突き付けられた現実を否定しようと勢いよく立ち上がり閉められた倉庫の扉を引っ張った。もともとスライド式だから引っ張ってもうるさいだけ。鍵は外だけ、中からは開けられない。わかっていてもやらずにはいられない。私は自分でも思った以上に焦っていた。



「...どうしようっ、」



この授業は六限目、つまり本日最終。きっとこの後もだれもここには近づかない。気付いてくれるとしたら、明日の体育のときかそれとももっと後。
冷汗が流れる。もしかしたら、と最悪のケースを考えると泣きたくなってくる。
コンクリートの床に膝をつく。その瞬間刺すような痛みが走った。ゆっくり腰をおろして痛いほうの膝をみればこすったようにおおきい傷ができていた。

じんじんと痛む傷にどうしようもないこの状況に私はどうすることもできない
いや、膝をかかえていつもなにかと助けてくれる幼馴染を思い出すことしか私にはできなかった。

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