その言葉にまず笠松が口に含んでいたスポーツドリンクを吹きだした。
森山はなん、だと...とか言いながらタオル持って固まってたし、黄瀬は興味津々にそれで、それで、と聞き寄っている。
どこか抜けているとは思っていたがそんなところで発揮していたなんて思いもしなかった。
「どうしたんですか!先輩!」
「ん?ああ、なまえがな、告白されたんだってさ」
片づけ終えたのか早川まで加わってくる。俺はこの状況を短く説明したが、それを聞いた早川が固まるのはまだわかる。なんでなまえまで固まるんだ。
「「こ、こくはく?!」」
早川となまえが信じられないと言った顔で俺をみてくる。なまえのほうはどんどん顔が赤くなってる。やっと事の重大さに気付いたらしい。
「...みょうじ、今までなんだと思ってたんだ?」
「てっきり提出物持ってくの手伝って、って意味かと...」
「なんで隣のクラスの奴がみょうじに頼むんだよ」
「...あ」
森山の説明もあってかようやく言われたであろう言葉の意味を理解したなまえは小さく唸りながらその場にしゃがみこんだ。黄瀬も一緒に隣にしゃがんでいた。
「でもまあ、いいんじゃないっスか?先輩その人のことよく知らないんでしょ?」
「浩志くんと一緒のクラスだなーぐらいは知ってるよ...」
「...それをよく知らないって言うんスよ」
「なまえ、なんかあったら俺が言っておくからそんなに落ち込むなって」
俺も一緒になってしゃがんでみる。すればなまえは少し顔を上げて俺を見る。でもその顔は赤いまま。こういう反応するあたりはやっぱり女子なんだなって思う。
...でもやっぱり他の奴にとられたくないと思う辺りは俺も男子なんだなって思うけど。この際それは棚上げしておこう。
「ほんとうに?」
「ああ、本当だ。だからもう今日は帰ろう」
帰りはコンビニでお菓子でも買ってあげよう。でもその前に笠松が吹き零したスポーツドリンクをどうにかしなくては。
あとはそれから考えよう。とにかくなまえが明日また元気に笑ってくれることを願うだけだ。