予令も鳴ってあと五分で午後の授業も始まるってとき、次の授業の教科書を出してる後ろの席の真ちゃんを見てみると既に机の上に置かれている質素な筆箱に見覚えのないキーホルダーがついていた。今日のラッキーアイテムなのかと思ったけどそれは朝なまえちゃんから借りてたのを見たから知っている。(ちなみに花飾りのピン止めだった)


「真ちゃん、これ買ったの?」


何気なくそのキーホルダーを指させば真ちゃんの動きが一瞬止まる。ほんの一瞬だった。本人は俺に気付かれてないつもりだろうけど、高尾さんの目をなめちゃいけませんよ。


「今日のラッキーアイテムは朝なまえちゃんに借りてたし、真ちゃんが意味もなくこういうの買うキャラには思えないし」

「...。」

「しかも緑色だし、心なしか真ちゃんの髪の毛と同じ色に見えるし」

「..黙秘するのだよ」

「ってことはなーんかわけありってことでしょ?高尾さんに話してみなさい!」

「なんでわざわざお前に話さなくちゃいけない」

「いや、ぶっちゃけ気になってるだけなんだけどねー」


そうぶっちゃけると真ちゃんはその筆箱を机の中にしまってしまう。あーあ、すねちまった。
...まあ真ちゃんのことだし大体の予想はつくんだよね。きっと貰ったんだ。それもただ貰ったんじゃない。大事にする決定的ななにかがあった。堅物真ちゃんに決定打を与えられる人は限られてくる。きっと身近な存在、俺じゃない、そうたとえば、

なまえちゃんとか

俺たちの席から少し離れたところに座ってるなまえちゃんを見やる。なまえちゃんはさっきの真ちゃんと同じように机の中から教科書を出している。教科書を机に置くと隣の席の女子がなまえちゃんに話しかけている。それを聞いてなまえちゃんは小さく笑っている。本当にあの子は可愛いなぁと見てると後ろから教科書で思い切り頭をたたかれた。


「いてっ!なにすんだよ!」

「なに見ている」

「...真ちゃん嫉妬?」

「そんなわけないのだよ!!」


むきになっちゃって、これ以上からかうとなにをされるかわかったもんじゃないから逃げるように前を向く。するとチャイムが鳴る前に科目教師が教室に入ってくる。これがまじいいタイミングすぎて!
もう一回なまえちゃんの方をみてみる。すると机の上には筆箱が増えている。小さい筆箱についているキーホルダー、それをみた瞬間俺は納得できた。
この二人はこれで付き合ってないとか、冗談もいいところだ。きっと先輩たちも同じ考えだと思うんだよね。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -