控室にいない緑間を探しにいったみょうじを探しに高尾がいなくなった。とりあえず全員いない。それとそいつらを探しに行った宮地と木村もいない。ミイラ取りがミイラになった。最終的に俺がミイラを探しに行くことになった。


「お前ら、なにやってるんだ」


案外簡単に見つかった。というのも選手しかいないであろうここら一帯で騒がしい声がすれば気付くだろう。
俺に気付いたこいつらは一斉にこっちをみる。ベンチに座る緑間とみょうじと高尾。そのベンチの前にしゃがみ込む宮地と木村。よくみるとみょうじが、泣いている


「みんなでなまえちゃん慰めてあげてるんですよ」


高尾が何食わぬ顔でそう言った。名前を出されている本人はもうそれどころではないのは見ていてわかった。
みょうじは試合が終わったあとも何も変わらない笑顔で俺らのもたらした結果を受け止めていた。そういう奴なんだということはバスケ部に入った当初からわかっていたことだ。
だけどこの一年で彼女は成長した。幼馴染だという緑間とその緑間についてく高尾に影響されるように。突き付けられた結果を受け止める勇気は最初からあった、今じゃそれを分かち合う勇気を得た。
後輩の成長を見れて嬉しくないわけはない。ただ同時に来年そこに俺らはいないんだなと思いだすだけで。


「ああ!なんで俺ら今年で終わりなんだよ!」

「本当だよな。もう一回ぐらい試合してぇよな」

「え、宮地さんも木村さんも来年も残るンすか?!聞いたか真ちゃん!」

「残るとは言っていないのだよ。」

「なんだ高尾、お前俺に留年しろって言ってんのか?轢くぞ」

「よし、軽トラ持ってくるぞ」

「思う存分やってください」

「ちょ、真ちゃん見捨てないで...!」


高尾が立ちあがって宮地と木村の魔の手から逃れようと逃げている。高尾を売った緑間は満更でもなさそうな顔をしていて、みょうじの流す涙はもうどの涙なのかわからないぐらいお腹を抱えて笑っている。


「もう一回、やりたいな」


宮地と木村がそういう気持ちがわかる。ふとベンチに座る後輩を見やるとさっきまで腹を抱えていたみょうじと一緒に緑間が今の俺の言葉を聞き逃さなかったようで俺のことを見上げてくる。


「次は絶対勝ちます」

「わ、私も頑張ります!」


ああ、もう、本当に、みんな立派に成長してくれて、子どもの成長を見守る親にでもなった気分だ。まさにその通りだ。こいつらは、俺らを超えて、次は勝つんだろうから。


「...負けたら承知しないからな」


二人の頭に手を置いて期待を込めてそう言った。
笑顔が似合う燈山は満面の笑みで「はい!」と答える。素直じゃない緑間だが少し笑っていた、「まかせてください」と言ってくれた。

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