なまえが先輩を部室に招き入れた瞬間、俺たちの戦いが幕を開けた。
先頭で入ってきたのは宮地さん。高尾が一歩踏み出す。なまえがその場から避難したのを確認すると、すぐに動いた。


「宮地さんっ、おめでとうございまっす!!」

「ぶっ!」


その手に装備していた白い塊は見事に命中。あんな近距離で急に投げられたら避けられないだろう。先日俺もやられた。
出だしは好調。宮地さんを見て呆気にとられている木村さんと大坪さん。俺は構わず手に持つそれを投げつけた。


「木村さんもどうぞ」

「ちょっ、まっ、うわっ!」


残すは一人。これは発案者の役目、と高尾と二人で無理に押し付けた。
とはいえ相手は俺よりも大きい。平均身長の彼女が届くはずもなく俺が協力することになった。


「真太郎くん!」

「わかったのだよ」


その手には俺たちが先輩に投げつけたものと同じ白い塊。
俺はなまえの両脇に手を入れて彼女を持ち上げた。


「大坪先輩、覚悟っ!」


先輩は何も悪いことしてないのだよ。と言いたかったが言わないでおこう。

なまえは最後の白い塊、"パイ"を思い切り投げつけた。...宮地さんと木村さんみたいな奇声がない。これは、やらかしたか。
投げたなまえも、俺も、高尾も、顔を青くした。


「...お前ら、いい度胸だな」


宮地さんの手にはさっき高尾が投げたパイ。顔はクリームまみれ。だが怒っていることはわかった。


「優勝祝いとか言って、こんなので喜ぶと思ったか...!」


木村さんもだ。手にはパイ。これは、確実に投げられる。そのフォームでわかる。
これは、と大坪さんをみれば、ああやっぱり。顔は笑っているがその手には彼等と同じようにパイがのっている。


「覚悟しろお前ら」


なまえが俺のジャージの襟を思いきり掴んでいる。正直苦しいがそれどころじゃない。
俺たちの残り弾は予備に作った一つだけ。対して先輩たちは(俺たちの投げた)三発を持っている。
これは、負けた。俺たちは人事を尽くした、だがこれでは一方的だ。

...覚悟を決める時がきたのだよ

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