終わった
試合も、俺たちの三年間も、全部
俺の手には大会を制した証のトロフィー
俺たちは勝った、はずなのに、
泣いている
泣くつもりはないのに、なんとなく、心に穴があいた感覚
明日からは後輩たちにすべてを任せるのだ
それが不安なわけじゃない
そこに俺たちがいられないことが嫌なだけだ
散々泣いた
散々礼も言った
思い残すことはない
そう思っていつもの三人で会場を出た
なのに、オレンジ色した空を背景に
あいつ等がいるのは何故だろうか
もう見慣れたリアカー
引っ張る自転車には高尾がいて
リアカーの中には緑間とみょうじ
一番関わりのあったであろう後輩たちがいて
「今日は優勝祝い用意してるんすよ」
「だから学校まで一緒にきてください」
「信号待ちでもじゃんけんはなしなので」
なんて言って俺たちを半ば強引にリアカーに乗せる
ゆっくりと俺たちを乗せたリアカーが動きだす
こいつ等のいう学校になにが待っているのか知らないが
ついさっき出来た心の穴が埋まっていく感覚
なんだかんだいっても
この後輩たちは俺たちのことを慕っていたんだな、と
自然と笑みがこぼれた