「やっぱお前のところの先輩すごいよな」
未だ残るハンバーガーを食べながら火神くんがこぼした。その言葉に秀徳に通う三人は彼を見る。その視線は「あたりまえじゃないか」とでも言っているようで。というか言っていた。
「でも黒子くんの学校の先輩たちも強いよね」
「あたりまえです」
さっきのお返しと言わんばかりの即答する。
するとなまえさんが何かを考えるように俯いてしまう。
「いいな、黒子くんのところは...」
「どうしてです?」
「だって先輩、二年生しかいないから」
僕たちの学校は去年できた新設校だからまだ三年生はいない。それに比べて彼女たちが通う学校は歴史のある学校、試合のときだってコートにいたのは三年生。確かに目の前にいる緑間くんと高尾くんもコートに立ってるわけだが、僕たちとは少し違う。
彼等は、本当に、先輩たちのことを慕ってるんだ。たまに会う緑間くんからはそういった素直な言葉は聞けないが本心はそうなんだ。本当に緑間くんは損な性格をしていると思う。
「僕たちだって来年はなまえさんたちと同じ思いをするんですよ」
僕たちだって、先輩は来年三年生。ただ一年違うだけ、なのにこんなに違うのは、お互いこの一年本当にいろいろなことを先輩たちと共有してきたから。
「来年は俺たちが勝つのだよ」
緑間くんがそう言った。その顔は自信に満ちあふれていた。火神くんがそれを聞いて「させるわけねぇだろ」なんてその挑戦を受けてたっている。高尾くんも「それこそさせねぇよ」なんてここじゃもう来年の話をしている。
「うん、負けない」
なまえさんも口を開いた。
僕はびっくりした。中学までの僕の知ってるなまえさんとは違ったから。前ならこんなこと言わなかったのに。
きっと変わったんだ。緑間くんの影響もあるのだと思う。でもきっとそれだけじゃない。それこそ先輩の影響もあったんだろう。
こんな後輩を持ったあの先輩たちはきっと胸を張れるだろう。後輩に帝光中学の出身がいた、とかそんな次元の話じゃなくて、きっと自己満足に似た感情。
だけど先輩たちはいつも最後には笑ってくれる。それだけで僕たち後輩は嬉しい。
「はい、僕も負ける気はありません」
僕はこの三人みたいな先輩を誇れる立派な後輩になりたい、そう思った。