看守だったときに話は聞いていた。彼女は"嘘つき"だと。
もともとはあのユニクロンの手下でセイバートロンを飲み込もうとして下調べをするために送りこまれた奴なんだ。あいつは信じちゃいけないやつなんだ。
でもそれはただの偏見だったのだと思い知らされる。
「...すまない」
彼女を見たとき、その言葉しか出てこなかった。目の前の彼女は何のことだと首をかしげている。
「私は君のことを、嫌っていた」
無意識的に、遠ざけていた。周りがそうだったからそれが当たり前なのだと勘違いしていたのだ。罪悪感と後悔がスパークを占める。きっと彼女はこの感情に似たものに支配されてきたんだろう。
「許してくれ、なんて言わない。ただ...!」
素直で優しい彼女と、仲間で、友で、いたいと思った。
すると彼女は優しく微笑んでくれる。
「前にね、司令官が教えてくれたの」
許しあえるから、仲間で、友で、いられるんだって。
「だからウイングセイバーと私は今日から"仲間"でしょ?」
笑顔で私の手を握ってくれた。金属でできたはずで、同じ生命体のはずなのに、その手はぬくもりに満ちていた。
君には一生敵わないのだろうと、喜びによく似た諦めで笑ってしまう
君は嘘つきでもなんでもない、ただのなまえだ