地球のオーシャンシティにはチームコンボイが在住していた。そのリーダーでありサイバトロンの総司令官であるグランドコンボイは今司令室にいた。
デストロン襲撃の報告を受けていない今はまさに彼らにとっての束の間の休息なのだ。
...かといって休んでいるわけにはいかない状況だったりする。
「司令官、いらっしゃいますか?」
司令室の扉が開き、入ってきたのはチームコンボイ唯一の女性であるなまえ。彼女も休みたくても休めない一人だ。
「なまえ、もうできあがったのか?」
「はい!インフェルノにもちゃんとオッケーもらってきました!」
嬉しそうに司令室のコンソールに近づき何かを入力する。しばらくすると大きな液晶には図面らしきものが写しだされた。
「えっと、インフェルノに助言してもらったのがここと、ここで...」
「うむ、前に言った問題点は解消されているな。...その助言されたところも問題は見られない。このまま採用しよう」
「ほ、本当ですか...!」
"採用"という言葉を聞いてなまえ満面の笑みになる。ありがとうございます!と何度も口にしながら部屋の中で飛びまわる。
こんなに感情を露わにするなまえを一体どれぐらいの者が知っているだろう。セイバートロンで窮屈そうにしていたのをグランドコンボイは知っている。
そんな生活が解消されるように手は尽くしてきたが限界があった。なんせ相手はデストロンではなく、身内(サイバトロン)だったのだから。
「そういえばなまえ、さっきスカイファイヤーが君を探していたが、」
「え、そうなんですか?じゃあ探しにいかないと...」
「この後の仕事はもうないのだろ?だったらスカイファイヤーと一緒に近くを偵察してきたらどうだ?」
「...いいんですか?」
「ああ、頑張ってくれたご褒美とでも言っておこうか」
なまえはまたありがとうございます!と部屋を飛び回る。その興奮を抑えられないまま司令室を後にする。失礼しました!と敬礼をしていくのも忘れない。
セイバートロンでいつも悲しい顔をしていたなまえとは別人だ。それはきっと、この地球でたくさんのものを得たからだろう。仲間、友人、本当の自分、それから、
つい先ほどなまえの提出した資料をしまい、新たに外の映像を映し出す。そこにはちょうど偵察と言う名の自由飛行に繰り出そうとする二機のジェット機。
君がいなけりゃ、何の意味もないんだ
「君がいてくれるから彼らがこんなに楽しそうなんだよ」
君自身、気が付いていないかもしれないけれど。