「なまえ!いくぞ!」
「え、あ、まってよ...!」
「副司令!なまえ連れ出して、なにやってるんですか!」
副司令、と何度も呼び止められた気がした。あ、さっきのはきっとホットショットだ。
それにしても「なにやってるんですか」は心外だな。俺はこうやってインフェルノに仕事漬けにされているなまえを助けだしてるっていうのに!
「スカイファイヤー!私まだ仕事終わってない!」
「あ?そんなのインフェルノに任しときゃすぐ終わるって!」
だから今日のお前の業務は終わり!よって俺と一緒に何をやったって誰も文句は言えない!
なまえの手を引いて向かうのはこの建物の外。俺となまえが自由に飛びまわれるあの空。
光が差し込んでくる。もうすぐ出口だ。というのになまえは未だダメだと繰り返し逃れようとする。
「...お前、そんなに俺より仕事の方が好きなか」
「え、」
「そうかそうか、だったら仕方ないよな。さあ、仕事でもなんでも好きにすればいいさ!」
引いていたなまえの手を離す。しかしなまえは一向にどこにも行こうとしない。...まあ本音を言うならそうなることが分かってたから手を離したんだけどな。
仕事に戻ろうと来た道を振り返ってみたり、俺を顔を見て不安そうな表情を浮かべたり、なまえはまた迷っている。でもそれは"昔"みたいな苦痛を伴うものじゃなくて、
「...なーんてな!冗談に決まってるだろ!」
俺は悩むなまえの不安を吹き飛ばそうと笑った。するとなまえの動きはおもしろいほどピタリと止まった。
「お前がいくら仕事していって言ったって、俺がそんなお前を連れ出さないわけないだろ?」
完全に置いてかれているなまえ。俺はそんななまえに気を使うこともなくもう一度その手を掴んで走りだす。光さす世界まであと少し!
素のままの自分が好きだと、そう告げてくれた人
「スカイファイヤーはかっこいいね!」
そう言ってくれたときのことを忘れない。それは嘘でもなんでもない、"本当の言葉"だった。