この惑星に一機の宇宙船が降り立った。嬉しそうに降りてきた三人の子どもたちはなまえに駆け寄り笑顔を見せる。そのあとから一人の男性とその男性に隠れるようにしている男の子が一人。
「キッカーはこんなところでなにしてるの?」
物陰を覗き込めば膝を抱え小さくなっている男の子が一人。なまえが声をかけると男の子は体を大きく揺らし、恐る恐るなまえを見上げた。
「な、なんで追いかけてくるんだ...!」
「君が望むなら乗せてあげてもいいのよ」
「そんなのいらない!!」
冗談のつもりで言った言葉は男の子に全力で拒否されてしまう。その瞳は深い憎しみにも見えた。
「じゃあ一緒に司令官のところに帰ろう」
もちろんあなたの足で。そう付け足しても彼の憎しみめいた瞳は変わらない。
「いやだ!!なんでお前らみたいなのといっしょにいなきゃいけないんだ!!」
強く睨まれてしまった。その瞳にどこか覚えがあるなまえは先程までの笑顔を崩してしまう。それを見た途端男の子の威勢が消えていく。
「...そういう言葉を言っていいのは、私だけだよ」
なまえは優しく微笑んだ。瞳が揺れているようにみえた。
「この惑星のみんなにこんな悲しい思い、してほしくないの。」
例えどれだけ罵られようと、傷めつけられようと、構わなかった。そういった類のものには"慣れていた"から。
「そういう思いするのは私だけでいいから」
マジョリティに抗するほどの勇気もなかった自分
俺はそのときのなまえを絶対に忘れない。ほんとうに悲しそうに微笑むなまえを、どうしたら忘れることができるのだろうか。
そして察した。"きっと同じ言葉を言われたんだ"。
だから決めた。"なまえには優しくしよう"。
同じ惑星に住んでるあいつらだけが幸せになって、なまえが悲しむのは、やっぱりおかしいじゃないか。