レイヴンが元気すぎる青年達を追いかけてきた理由は、ユニオンとして一皇族のエステルを監視するためなのだと言った。しかしエステルがフェローと呼ばれるあの日の喋る魔物と会えるまで護衛をするという"凛々の明星"。しかしエステル自信がしたいことを聞いた彼らは納得した。レイヴンとしては別の意味で都合がいいと言っていた。
「フェローっていう魔物に会うには砂漠に行くことになります」
「んで、砂漠に行くのにデズエール大陸行かなきゃいけないでしょ?ついでにノードポリカに手紙を届ける、と」
「"天を射る矢"の幹部が"戦士の殿堂"の首領へのお使いをついで、でいいんですか?」
「いいのいいの、結果良ければすべてよしってね!」
みんなと別れた後、いつものように星たちに会おうと宿屋を出れば満天の星空。少し離れたベンチに座り上を見上げていれば、急にレイヴンの顔が見えてなまえは目を見開いて驚いた。それを見て満足そうに笑みを浮かべたレイヴンがなまえの隣りに腰を下ろしたのはさっきの話。
「それでレイヴンさんは何しにきたんですか?」
「ん、なに?おっさんが可愛い子に会いにきちゃいけないの?」
「いや、そういう訳じゃないんですけど...」
「なまえちゃんは素直で強くていい子だから、俺好きだけどね」
いやむしろ愛してるかもね、と笑顔でなまえの方を向いた。目があった本人は少し考えて少し俯く。
「...。...だめですよ、レイヴンさん」
でもすぐに冷静になった。そして今の状況に追いつこうと少し考えてみる。空に瞬く星を見上げたい、でも行動はそれに反して俯いていた。
「そんな簡単に言っちゃいけないですよ」
⇒願わくばそれが、愛でありますように
いわない。ほんとうはそのことばがほしかったこと。
いまも、むかしも、しあわせのなかに"あい"はなかった。