帝都に帰るエステルを見送った直後だった。突然その空に見たこともない魔物が現れたのだ。大きな魔物は騎士団の攻撃も軽々交わす。前線で戦っていたフレンは片膝をつき魔物を退けようと他の策を思考する。
「なんてザマだよ」
そのフレンにさっきまで宿で休んでいたはずのユーリが駆け寄る。
「ユーリか、頼む...エステリーゼ様を...」
そのエステルは魔物の攻撃を受けた騎士を一人づつ治療していた。まさか自分が狙われているなんて気づくはずもなく
ソディアとウィチルが魔物の気を引こうと攻撃をするが魔物はエステルを狙っている。
「エステル!早く逃げて...!」
「なまえ、だってまだ怪我してる人が...」
「後でもできるから...!エステルはあれに狙われてるの!」
「私が、狙われているの?」
なまえがエステルの手を説得するがエステルはその魔物を見上げる。
「忌マワシキ、世界ノ毒ハ消ス」
その魔物は今確かに言葉を使った。エステルもなまえも確かにそれを聞いた。
「え、いま、魔物がしゃべって...」
「人の言葉を...!あ、あなたは...!」
その直後凄まじい爆破音が響いた。そう思うと魔物から一瞬火が上がる。すると魔物はそれを逃れようとエステルたちから離れていく。
「ユーリ!」
エステルがこちらに駆け寄ってくるユーリに気付き声を上げた。つられてなまえもそちらを見ようとしたが、彼女にはユーリの後ろに見えた見覚えのある背中が目に入った。
「パパっ...!」
⇒見守るだけなら意味がない
エステルだけが周りにかき消されそうなその声を聞いた。なまえが見る方をよく見ればそこに見えたのはエステルもよく知る騎士団長の背中。
「...なまえ、なまえのお父様って...」
「無事か?!」
エステルの消えそうな声は確かになまえに届いていたであろう。しかしユーリが来たことによって続けられなかった。そして魔物はヘラクレスの砲撃にあう。なまえはその背中を見続けることしかできなかった。