「なまえはこれからどうするの?」

「私?そうだね...」


黒幕であるラゴウは、最後までギルドで、自分であり続けた。ユーリたちに負けたと思った直後、塔の上から足を離した。潔かったのだ。それがラゴウと違いなまえが怒りの沸点を迎えなかった理由なのかもしれない。


「...ユーリたちについていってもいいかな?」

「父親探さなくていいのかよ」

「うん、ダングレストにはいないみたいだから、もうちょっと歩き回ってみようかな...って」


水道魔導器を取り戻し、ユーリの旅も目的を果たしたわけだが、ユーリはまだ旅を続けると言った。水道魔導器を下町に届け、また結界の外に飛び出すのだ。


「...。...いいかな?」

「俺は構わないぜ。カロルは?」

「僕もいいよ、大歓迎!改めてよろしくねなまえ!」

「うん、よろしくおねがいします」


どうやらなまえの父親探しの旅も終わらないようだ。カロルがまた旅をともにすることに大賛成した。なまえは笑顔で答えた。


「でも、エステルもリタもいなくなっちゃうんだ...。...寂しくなっちゃうね」

「おっさんもいないけどな」

「レイヴンさんはどこからともなくまた現れそうな気がするの。」

「うさんくさいからか?」

「うさんくさいからかもね」


この旅を終えてエステルは城に戻るそうだ。リタもケーブ・モック大森林のようなエアルクレーネをもっと調べたと言っていた。レイヴンは"天を射る矢"としてダングレストに残るのは当然であるだろうし、ジュディスはジュディスで友達と旅をするそうだ。


「じゃあ、明日の朝はエステルとリタの見送りだね!」

「やっぱり朝早くいっちゃうのかな...?」

「僕、エステルに聞いてくるね!」




⇒目が覚めたら夢じゃなかった




その晩、ラゴウが評議会の権力を利用して罪を軽くしたのだとカロルが教えてくれた。なまえの思考はまた怒りに浸食され始める。その気持ちを紛らわせるために星を見ようと宿屋の扉を開けた。


「...ラピード?」


さっきまでユーリと一緒に部屋にいたはずなのに。


「こんなところで寝てたら風邪ひいちゃうよ」

「...」

「隣、いいかな?」

「...」


ラピードの返事はない。だからなまえは勝手にラピードの隣りに腰を下ろし、空を見上げた。星たちは昨日と変わらずにそこにいた。


「なまえ...?」

「...あ、ユーリ」

「ラピードまで...」


そして彼もその手を汚し、明日も変わらずにそこにいるのだろう。

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