「カロルくん、さっきからきょろきょろどうしたの?」
「え、いや、べつに、」
ダングレストに着いた途端、カロルは周りを気にしていた。理由はわかる。ギルドをクビになったことを気にしているんだ。そんなカロルの心配はやはり的中してしまうのだ。
「ん?そこにいるのはカロルじゃねえか」
「どの面下げてこの街に戻ってきたんだ?」
向こうから体格のいい男が二人こちらに歩いてくる。それを見てカロルは顔色をかえた。
「な、なんだよ、いきなり」
すると彼らはカロルが反論できないのをいいことに好き放題言い始めた。カルボクラムにいた少女(ナンという名前らしい)に見放されたと笑い、意地になってカロルも思ってもないことを口にしてしまう。そうだ。カロルはこれがあるから街に戻ってきたくなかったのだ。
「あんたらがこいつ拾った新しいギルドの人?相手は選んだ方がいいぜ」
「自慢できるのは、所属したギルドの数だけだし。あ、それ自慢にならないか」
調子に乗ったのか彼らはユーリたちにそう言った。しかしユーリは表情を変えることなく、寧ろどこか楽しそうに言い返した
「あんたらカロルの友達か?相手は選んだほうがいいぜ?」
「そうそう。その目は飾りですかー?」
「あなた方の品位を疑います!」
「あんた、言うわね、ま、でも同感」
ここでひと悶着あるのかと身構えたが、その空気さえも引き裂くほどの鐘の音が鳴り響いた。
⇒見たくなかった見たくなかった見たくなかっただってあんなの嘘だ
先に行った男たちの後を追って騒ぎの方に行ってみれば砂ぼこりの向こうに魔物の群れと闘うギルドの人たちが見えた。ダングレストを守っていた結界魔導器が原因不明の消失。向かってくる魔物を止めるために、彼らは立ち向かっていく。