帝都に行くまでは本当に軽い気持ちだった。パパに会えると信じてた。
でも現実は会えはしても相手が気づかない、私が緊張してそのまま話せないまま。まさかこの歳になって実の親相手に緊張するなんて思ってもいなかった。


(簡単にはいかないなぁ...)


宿のベットで一人ゴロゴロしていた。結界魔導器の爆発に巻き込まれたリタにつきっきりで治療しているエステルとは別室。あの綺麗な部屋からは星がたくさんみれるんだろうな、と考えると少し羨ましかった。でもエステルはエステリーゼってお姫様だからあんな部屋に通されて当然だと思うけど...


「...それにしても、最近はよく雨が降るね」


こんな雨の日じゃ星はみえない。次みんなに会えるのはいつになるのだろうか...。そういえばこうやってベットの上でゆっくりするのも久しいかもしれない。カプワ・トリムでは有名なユーリのお陰で真夜中に叩き起こされたのは記憶に新しい。星の見えない日はいつも布団にもぐりこんで明日の快晴を願ってきた。今日もそうすることにしてまだ重くない瞼を閉じる。

瞼を閉じれば思い出すママのこと。ママは最後までパパにことを心配していた。だから私はそのままに変わってパパのことを確認しにいくんだ。パパと最後に会ったのは十年前だったか。あの時のパパはとても優しかったのを覚えている。そして、ママはパパと一緒にいられてとても幸せそうに笑っていたのを覚えてる。その時の二人の真ん中に、私は、いなかった。いられなかった。あんなに幸せそうにしている二人に割って入る勇気が、幼いころの私にはなかった。

ああ雨の日は好きじゃない。彼らと会えないから。両親の幸せを願いながら寂しい思いをしていた幼いころの私が出てきてしまう。だから私は明日の快晴を願う。太陽はいつだって私の寂しさで濡れた心を乾かしてくれるから。




⇒(夢みたいで夢じゃない、夢見がちな話)




夢の中であの日のパパが頭を撫でてくれたような気がした。それが雨の日の後の晴天のように温かくて、まぶしかった。

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