来てみればカルボクラムは廃墟だった。この場所にギルドの一団がいると教えられたなまえだったがまたかとみんなと一緒に肩を落とす。それにノール港と同じ雨。気持ちがどんどん下に傾いていく。やっと室内に入れたと思ったら今度は長い長いくだりの螺旋階段。帰りはこれを登っていくのか、と考えたらますます気持ちが傾いていくのがわかった。
「な、なんだろう。さっきから気持ち悪い...」
「鈍感なあんたでも感じるの?」
「鈍感はよけい...!っていうか、リタも?」
「...こりゃ、なんかあるな」
「ユーリも...エステルも?」
「へ、平気です」
「無理することもねえだろ。休憩して様子見すっぞ。」
螺旋階段を下りきったところでみんながみんな、胸のわだかまりが現れ出していた。ここにきて急に起きた事態に驚きを隠せない。エステルが胸のわだかまりに座り込んでしまう。でもまだ大丈夫と再び立ち上がる。だがそんな状況下にも例外はいた。
「というか、なんであんたは平気なのよ」
リタはこの状況で未だ平然と立っているなまえを見た。自分と同じように胸のわだかまりがあるはずなのに。なんで彼女だけ平気なのだ。
「外が雨で帰りはこの階段を上ってかなきゃいけないって考えるとへこむけど...」
「そういうことじゃなくて...!」
「大丈夫だよ。魔物が来たら私が頑張るから!」
すると床から肉眼で確認できる何かが浮かび上がってきた。緑色の小さな粒子よようだった。それを見てはっとしたリタ。
「...これ、エアルだ」
「え?エアルって目に見えるの?」
「濃度があるとね」
「...そういえば、前にエステル言ってたよね。濃いエアルは体に悪いって」
「はい。...濃度の濃いエアルは時として人体に悪影響を及ぼす、です」
「クオイの森でぶっ倒れたもんな...」
これは引き返すしかない、とユーリは言うがエステルは今まさに追っている傭兵団を確かめたいという。
「じゃあ間をとって私が確認してくる、とか?」
「なまえ一人じゃ危険です。私も行きます...!」
「エステルはこの長い階段登って外で待ってくれればいいから」
「だめです、行きます...!」
⇒一人で行く君を引き留めないわけないじゃないか
「じゃあ、もう一回間とって、みんなでいく?」
「...結局進むんだな」
「みんな無理しないでね。いざとなったら私一人でも頑張るから」
「...。...今回ばかりはあてにさせてもらうぜ」
「うん、頑張るね!」