「ユーリ、知らなかったんだね」


なまえはどこか誇らしげだった。戦闘でも旅路(下手すれば料理)でも戦闘に立ってるユーリに勝てたような気がしていたから。

シャイコス遺跡で魔核ドロボウの手がかりを掴んだ。どうやらこの事件、裏に大きな黒幕がいるようだ。最早ドロボウ云々の問題ではなく組織単位の問題になっていたのだから。そのドロボウ一行はどうやらカプワ・トリムにいるようだ。だがそのカプワ・トリムに向かうには、


「なんだよ、じゃあなまえは知ってたのかよ」

「うん。私、そこ通って帝都に行ったんだから」


まずはカプワ・ノールに行かなくてはならない。なぜなら二つは海で隔てられた港だから。
下町と行ってもユーリも帝都育ち。結界魔導器の外のことに関してはなまえの方が物知りだった。


「じゃあなまえは今までの道は知ってたんです?」

「ハルルの満開の樹も見れたし、アスピオに来れて勉強にもなったし、」

「ハルルの樹はこれからまた見れますよ。通り道ですから!」


そのカプワ・ノールにはまずエフミドの丘を通って行かなくてはいけないのだが、遠くはない。ハルルはその通り道なのだ。


「エステルはハルルに戻ってフレンくんに会えるといいね」

「はい!」


エステルの追っている騎士のフレンはハルルにいる模様。一度オスピオに来て戻ってしまったらしい。要するに行き違いだ。
そしてハルルの結界魔導器の様子を見に行くとついてきたリタ。同年代のお友達が出来て嬉しいエステルと早くハルルの樹を見たいなまえに押され気味だったり。


「あんたらはしゃぎ過ぎじゃない?」

「リタもハルルの樹見るんですよね?楽しみじゃないんですか?」

「綺麗だったよ!私は楽しみすぎて今から走って行きたいよ!」

「あ、なまえずるいです!私も走っていきます!」

「私は!花見に行くわけじゃないの!!」




⇒世の中には幸も不幸もない。ただ、考え方でどうにもなるのだ




「三人とも元気だね」

「何言ってんだカロル、ハルルまで俺たちも走るんだよ」

「え?!」

「ほら行くぞ!」


そういうとユーリは全速力で前を歩いていた三人をあっという間に追い越していった。それをみたなまえは楽しそうに走りだす。待ってと慌てながらエステルも、ああもう!と自棄になるリタも先に行ってしまったユーリとなまえを追いかける。


「え、ちょ、待ってよぉ!!」


カロルも一足遅れて走りだす。
周りの魔物もびっくりするほどの疾走劇を繰り広げた一行だが、ハルルに着いた途端に倒れ込んだのは言うまでもない。

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