「なまえはお父様を探しているんです?」
「そうだよ。一回見かけたんだけど、あの騒ぎで見失っちゃったの」
「じゃあ今から帝都に戻れば会えるんじゃ...!」
「忘れたのかエステル。こいつ城の壁ぶっ壊して俺たちについてきてること」
「やっぱりお城の壁なのが駄目だったのかな...。思ってたよりも堅かったし、やっぱり田舎と違うんだね、なにもかもが」
「なまえの住んでたとこはどうだったんだ?」
「帝都よりも小さくて、お家の壁もあんなに綺麗じゃないし、もっと騒がしかった、かな?」
「んで、ひとんちの壁壊しても叱られるだけだった、と」
「すごいねユーリ、よくわかったね!」
「...。」
「なまえ、お城の壁も家の壁も壊してはいけません!」
「そーだエステル言ってやれ」
「壁は口には出さないだけでなまえに壊されて身も心もとても痛い思いをしているんですよ!」
「...。」
「そう、なの...?」
「そうです!」
「...。」
「...。...壁さん、許してくれるかな...」
「なまえが心から謝罪すれば許してくれますよ!」
「じゃあ、次帝都に行ったときに謝りにいく。」
「そのときは私も一緒に行きます!」
「...。...おーい、帰ってこーい」
▽お城の壁
心やさしい子たちの話