「おいっ!止まれ!!」
先走る彼女の腕を思い切り引いた。これで何度目だったか。
彼女が抜けようとした目の前はすでに壁に塞がれていた。
こんなことをもう何度も繰り返して、一向に出口が見えない。
今腕を掴む彼女を見れば、疲労か動揺かカメラの奥が弱い点滅を繰り返していた。
「...。...別の道、探すぞ」
星帝から抜け出した彼女への慰めの言葉はもうストックがない。
今は黙って後悔の念と戦う彼女の腕を引いて先に進むしか、俺には残ってなかった。
アルファQというやつがこんなことする奴じゃないのは、彼女を見ていれば自ずと理解できた。
だとすれば俺たちの行く手を阻むのは、彼女を逃すまいと追いかけくる"見えない星帝"か、それとも、
「ガルバトロンだ。」
アルファQの初老の声が響いた。
「お前たちを閉じ込め、弄ぶのは、ガルバトロンだ。」
星帝の胴体に文字通り頭突きを食らわしている現状。どちらもどちらの星帝を操れるこの状況。
"嘘つき"の意思を削いだ"頭部"は、支配欲の塊であるガルバトロンに掌握されつつある。
それを食い止めていたのが"彼女"だった。
だがその歯止めを自ら削いだのはアルファQだ。
怖くないはずない、苦しくないはずない、悲しくないはずない。
それでも彼女の幸せを願ってくれたのだ。
今の俺たちにできるのはその意思に応えることだけだ。
「...どうすればいい?強行突破しかないのか?」
どこから聞こえるのかわからない声に問いかける。
反響する俺に声が消え、静まり返った時、答えは聞こえた。
「ないのなら、作ればいいのだ。」
調度頭の天辺からガタガタと音を立て始めたのはその時だった。
いつでも君と