絶望の中に光が射した。その光は辺りを照らす。
視覚が回復したスカイファイヤーがまず目にしたのは自分が一番愛している彼女の姿。
もう二度と手放すものかと静かに誓った。
次に見たものは部屋に張り巡らされたコードの群。そのコードに埋まるように置かれた王座に似た椅子。
ああ彼女はここで孤独と戦い、俺たちを救ってくれようとしたのだ。
だがもうその必要はない。
まだ嗚咽を残す彼女から手を離す。今度は肩を組んでこちらに引き寄せた。
彼女がいるならここにいる必要はもうない。
早く戦闘に戻り星を守らなければ、彼女を守らなければならない。
だから一歩踏み出した。
だが彼女足は動かない。
泣き顔のまま部屋を見渡していた。
「...アルファQ...」
キッカーから聞いたその名は今このユニクロンを動かしている奴の名だ。
そうか、離れていても"同じ場所"にいたのだ。後めたいのだろう。
「...行きなさい。なまえ。」
初老の声がどこからか聞こえてきた。
その声も彼女の"解放"を願っていた。
「君のおかげで私たちは救われた。」
「だから、今度は」
「なまえが救われる番だ。」
泣き止みそうだったなまえがまた冷却水をこぼし始める。
悲しいからじゃない。自分が役に立ったことが嬉しいのだ。認められることが嬉しいのだ。
「お互いもう、"独り"じゃないもんね...」
溢れる冷却水を拭い上を向いた。
「今度は"私たち"があなたの星を守るね」
その笑みは決意の笑みだ。
昔から見せる仮面みたいな顔じゃない。
心から信頼できるもの同士が見せるもの。
そしてなまえはようやっと俺を見上げた。
「還ろう、スカイファイヤー」
「...ああ。一緒に還ろう。」
俺は彼女から手を離す。
そして部屋を歩き出す。
だんだん早くなってくる速度。部屋を出た時には二機の戦闘機が駆動音を響かせていた。
もう、君がいないといられない
また君といられることの幸せをかみ締めた。
もう二度と手放してやるものか。