同席していた副官がいい顔をしなかった。
とは言ってもバイザーをしていてはっきりとはわからなかったが、彼の取り巻く空気が尋常じゃないぐらい重かった。
「お前と相容れないことはわかった。だが彼女を連れていたってその解決にはならないだろう。」
誰を指してるのかすぐにわかった。
きっと目の前にいるロディマスコンボイは、彼女を監視することでユニクロンの復活を防いでいる、と解釈しているのだろう。
だがそれは憶測である。そして検討違いである。
「彼女は関係ない。彼女は自分の意思で我々と共にいるのだ。」
「彼女は"嘘つき"だ。お前だってわかってるんじゃないのか?恐れているのではないのか?彼女が我々を裏切ることを。」
「もうやめましょう」
口を挟んだのはやはりスカイファイヤーだった。
その声はグランドコンボイが予想していたよりもずっと落ち着いていた。
「俺たちが信じてれば、あいつは裏切りません。絶対に。」
「その確証がどこにある。あいつは"嘘つき"なんだぞ。今だって俺たちを欺いているかもしれないんだぞ。」
物怖じせずまっすぐロディマスコンボイを見据えていた。
「たとえ宇宙がひっくり返ってみんなが敵になっても、俺は最後まであいつの味方です。だから、裏切りません。」
まっすぐと前を見据えて、はっきりと口にした。
頑固者だ、と先に視線を逸らしたのはロディマスコンボイだった。
そして同席していたレッドアラートを連れて部屋を後にする。
普段の勢いが身を潜めているスカイファイヤーが心配になりグランドコンボイは彼を見やる。
だが前を見据えたまま、先ほどと変わらぬまま立つ彼がいるだけだった。
「あいつ、セイバートロンでいつもこんな思いしてたんですね。」
だがそれも見繕っているのだとすぐにわかった。
その声は自分のことのように悲しむ声だった。自傷気味に笑った。
「俺、先にブリッジ戻ってます。」
そして彼も部屋を出て行く。
彼のバイザーがこれ程までに鬱陶しく思うことは初めてだった。
誰が君を理解出来ようか
"彼"も"君"も目指すものは同じたというのに。