「セイバー、おいしいかな...」

「はい、美味です!おかわりはありますか?」

「うん、たくさんつくったからね!遠慮なく食べて!」


今日はシロウもリンもアーチャーもいません。でもなまえが来てくれました。
そして私の腹の虫を聞いて笑顔でご飯をつくってくれました。シロウのご飯はもちろん美味です。ですがなまえの作るご飯も美味なのです。


「衛宮くんも凛ちゃんもアーチャーさんも、みんなセイバーのことおいてどこ行っちゃったんだろうね...」

「私もそれに関しては詳しく聞いていないのでなんとも、」


なまえが少し悲しい顔をしている。思わず箸を持つ手が止まる。ごめんなさいなまえ、でももう少し待っていてください。すぐに答えがわかりますから。


「家もね、私が起きたらみんないないの。綺礼もギルガメッシュもランサーも、」


そうでしょう。なぜなら今回の一件、彼等は珍しく結託しているのですから。この、一人の少女のために。
そういう私もその一員です。なのでここでなまえを"足止め"しているのです。
止まっていた箸をみてなまえが心配そうにこちらを覗き込んでくる。私は大丈夫ですと箸を進めることにする。


「私も、もう大丈夫だよ。みんなちゃんと帰ってきてくれるし、ご飯もおいしいって言ってくれるし」


そう言って笑顔を見せてくれました。少し前のように悲しみが滲み出てきそうな笑顔ではなく、満面の笑み。その笑顔は人を温かくする特別な力をもったような魔法のよう。つられて私も笑う。


「なまえは彼等のことが、大好きなのですね」

「うんっ、それが私の望んだ"幸せ"だから」


ああ、やっと幸せになってくれたのですね。前にランサーが話していました。「なんかあいつ見てるとほっとけないっつーか、守ってやんなきゃっつーか、とりあえず"幸せ"になってほしいとは思う」それが今ならわかります。この笑顔は、守らなくてはいけない。

ふとなまえが私の後ろの襖を気にし出した。...これはまずい。そう思ってまた箸が止まってしまう。しかしよく耳を澄ますと聞こえてくる足音。ああ、迎えがきました。


「よう、なまえ!」


音をたてて襖を開けたのはランサー。噂をすれば、というやつですね。
なまえは彼の突然の登場に驚きを隠せず目を見開いている。そんな彼女のことを気にすることなくランサーは座ったままのなまえを立たせてその手を引いて部屋を出ていく。止まった箸を置いて、私も後をついていきます。

そうです。今日はなまえが"言峰なまえ"になった誕生日なのです

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