目が覚めると外はまだ暗かった。そんなに早く目が覚めてしまったのかと時計を見たが、時計は六時を指していた。すぐにおかしいと思った。
暗い外と部屋を仕切る襖をあけると、そこに太陽はいなかった。あったのは遠くに見える赤い、赤い、月。疑いが確信に変わった。


「っ、セイバー!」


とにかく彼女を呼ばなくては、とっさにその名を口にした。
俺のいた部屋の隣の襖が勢いよく開けられた。そこから出てきたのは私服姿の彼女ではなく、鎧を身に付けた、まさに騎士。


「シロウ、強い魔力がこちらに向かってきます!」


セイバーは剣を構える。
彼女が見据える方を見ると、塀を飛び越え何かが敷地に入ってきた。
人間でないそれらはもはや化け物。遠慮などする必要ないことを物語っていた。

すると少し離れた部屋からドォンと爆音が聞こえた。今度はなんだとそっちをみた。するとこちらに向かって走ってくるのは遠坂。
手に持っているのは"宝石"。きっとさっきの爆音の原因だ。


「とにかく!こいつら全部倒すぞ!」


すぐに俺も武器を投影する。そしてセイバーと共に敵の中に突っ込んでいく。


そいつらは斬るとすぐに煙となって消えていった。だがそれを図ったかのようにまた増えていく。きりがない。
どうすれば減るのか考えていると、頭に何か小さいものが落ちてきた。地面に落ちたそれを見ると、"宝石"だった。
みたことがある、その"宝石"は。
拾おうとして手を伸ばしたとき、


「下がってください、シロウ!」


セイバーに思いっきり引っ張られた。
後ろに尻もちをついてあの"宝石"は、とその方向をみると、"宝石"は黒い煙に包まれ姿を変え、俺が倒していた化け物に姿を変えた。


「ど、どういうことですか...!」


セイバーがその化け物を切り捨てると煙になって消えていく。だがすぐに空から別の"宝石"が降ってくる。

わかっていた。"宝石"でこんなことができるのはあいつだけだって。でもなんでこんなことをするのかわからなかった。
空を見上げると無数の"宝石"が落ちてくるのが見えた。まるであいつが泣いてるみたいじゃないか。

すると暗い空に青い閃光が駆け抜けた。すぐに立ち上がりその閃光を目で追いかけたがもういない。
でもすぐに理解した。あの閃光は"なまえを助けにいった"んだって。

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