遅い。遅すぎる。

学校が終わって俺のこと迎えにきて、それから食料を買い込みにいく予定だった。
あの教会には大飯食らいが(俺を含めて)三人いる。それを準備してくれるあいつの手伝いをするのは当たり前だと思って荷物持ちに名乗り出たのに。
バイトは時間通りに終了。新しく始めたってなまえにも場所は教えたはず。


「...ったくよぉ」


もしかしてお人良しが発動して面倒事にめきこまれてんじゃないだろうな。あいつならありえる。
だったらこんなところで待っててもなまえは来ない。ため息をひとつこぼしてひと目のつかない路地に入りこむ。そして迷うこともなく、遠慮することもなく、高く跳んだ。



あいつが通りそうなところを回ったがそれらしい姿は見当たらない。なまえが通りそうな道をさかのぼる形になって、俺は学校にたどり着く。
土曜日は授業が早く終わるんだと嬉しそうに話していたなまえを思い出して納得する。もうここに残ってる人の数は少ない。
聞くにも聞けない。じゃああいつは一体どこにいるのか、術がなくなってまたため息をこぼした。

そのときだった。


「ランサー...?」


その名で俺を呼ぶのは限られてくる。声の方をみると、少し離れたところに小僧-衛宮士郎-がいた。


「お、いいところに来た。お前なまえみてないか?」

「なまえ?随分前に帰ったと思うぞ?」

「やっぱりか...?どこほっつき歩いてんだ、あいつ...」

「待ち合わせかなんかしてたのか?」

「ああ、まあな」


さて、どうしたものだ
一回教会に戻るべきか。今のあいつに俺を使役する力-令呪-はない。つまりこれ以上探せないのだ。
これはもう買い物だとか荷物持ちだとかそれどころではない。割と本気で。


「...なまえのやつ、帰る前に遠坂と一緒にいたような」


俺の話を聞いて学校にいたころを思い出そうとする小僧-衛宮士郎-。だとするとそれがあいつの最後の消息。
...嫌な予感が過る。それが当たってほしくないと強く願うばかりだ。


「もうちょっと街の方探してくるわ」

「じゃあ俺は反対の方に行く」

「...なんか悪ぃな」

「別に。それに俺たち、なまえに助けられたしな」


そう言い残して背中を向けて走って行った。

そうだ、今度は俺が助けなきゃいけない。忘れてはいけない、この"世界"があるのはあいつが俺らの"幸せ"を願ってくれたからだと。
今きた道をもう一度戻ってなまえを探そうともう一度高く跳んだ。

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