衛宮くんの家についたのに、扉を開けて出てきたのは凛ちゃんだった。
「あれ、衛宮くんは...?」
「ああ今買い出しよ。用でもあったの?」
「うん。これ、授業のノート返しに来たの」
「わざわざ休日に?学校で渡せばいいじゃない」
「いや、長く借りてるのも悪いかなって...」
凛ちゃんとは随分長い付き合いになる。綺礼がもともと遠坂のお家と関わりが合ったからよく連れてかれた。
遊ぶ時はいっつも凛ちゃんが先頭。私はその後ろにくっついていただけ。今でもそれは変わっていない。
というか、自分でもよくわかっていない特異体質を知った凛ちゃんは率先して私の前に立ってくれる。いつもを守ってくれた。
「...で、その途中で元の持ち主とはち合わせたってわけね」
「り、凛ちゃん...?」
「とぼけないでよね。令呪ないんだもの、一発でわかるわよ。」
隠すつもりはなかったけど、触れてほしくはなかった。
言ったって誰もわかってくれないってわかってたから。たとえそれが大切な凛ちゃんだったとしても。
わかってる。わかってるから、わたしはこうしたの。だって約束したんだもの、
「うん、確かに令呪は返したよ...」
「なんでよ、今まで上手くいってたじゃない!」
「こうするしかなかったんだよ!!」
みんなが幸せになるかわりに、私が我慢するから、って
だから私が少し我慢すればみんなは笑ってくれる。
私が少しわがままを言うとみんな困った顔をする。
「凛ちゃん、なんで...?」
これがみんなが、私が、欲しがっていた幸せだったはずなのに、なんで間違っているって言われるの
もう戦争も終わったんだから、みんな、私の分まで幸せになってよ
「私は、わたしはただ、」
わたしの大好きな人たちに、生きててほしいだけなのに