ロディマスコンボイの船はユニクロンの頭部、アルファQのいる本拠地についた。俺とミーシャ、ロディマスコンボイが船から離れユニクロンに足を踏み入れた瞬間だった。
背後から轟音が聞こえてくる。それはどんどん近づいてくる。敵が追ってきたのかと思って身構えたが、この音を俺は知っていた。
「撃つなロディマスコンボイ!!」
同じように構えていた彼は音の先に銃口をむけていた。撃ってはいけない、音の正体を悟った俺は轟音に負けないように思い切り叫んだ。
どんどん大きくなっていく音。もうすぐ、もうすぐ追いつくだろう"ジェット機"の轟音。
"彼女"はここにくることを一番望んでいなかった。だから黙って出てきたというのに。なんで自分から来るんだ。
「なまえ!!」
轟音の正体の名前を叫ぶ。その時、目にも止まらぬ早さで頭の上を抜けていった。その勢いで暴風が吹き抜ける。風が止んで顔を上げたけど、なまえの姿はどこにも見えなかった。
憧れるようなそんな表情で、空を仰いでいた
キッカーが名前を呼んでくれた。でも止まらない。ここで止まってしまったらきっとこの決意が揺らいでしまう。全部振り切るように速度を上げる。
途中この星帝を支配してる者からの攻撃もあったけど、"私"が避けられないはずがない。
「...っ」
星帝の最奥。きっと私ともう一人しかしらないであろう部屋。数えきれないほどのコードが絡み合い、一つの"王座"を守っていた。
あれに座れば私は"星帝"になれる
足が竦んだ。でも前に進んだ。あの椅子に座って、私は、みんなを助けるんだ。
一本踏み出せば"私"だと認識したのかコードの群れが退く。そして"王座"へ続く一本の道を作り出す。
歩みを進め、椅子の前で立ち止まる。
「...。...ありがとう」
今まで"なまえ"を信じてくれて
恐くないわけない、寂しくないわけない、帰りたくないわけない、
でも"嘘"をつかなきゃ
だって私は
"嘘つき"だもん
----------
一人いなくなれば"あの星"が救われると信じた"嘘つき"の話