散々泣き喚いたシュウメイは今治療室。泣いて泣いて泣き尽してエネルゴンが底をついたらしい。
あんなに感情的なシュウメイは初めて見た。きっとあれが本当のシュウメイなんだろう、スカイファイヤーしか知らないであろう。
今いない奴に頼ってもしかたない。だから今目の前にいるロディマス・コンボイに聞いた。
「なんでなまえが必要なんだ」
前に同じ問いをしたことがあった。あのときは曖昧に返されてしまったが、アルファQのことを知った今ではこの問題は避けては通れない。
「前に言ったはずだ。ユニクロンの最深部にアクセスできるのは彼女だけだと」
「...じゃあなんでユニクロンは動いてるんだ」
「あれは一部の機能にすぎない」
星を蘇らせたいというアルファQ。そのためになまえという存在が必要不可欠なのだという。
「だがユニクロンにアクセスするということは、ユニクロンそのものになると言っても相違ない。」
今こいつはとんでもないことをさらっと言った。彼女は"星帝"になる。それはまた彼女が憎まれ役になることだった。
「星を蘇らせるには少ない犠牲だ」
たくさんの生き物の住む星を蘇らせるのに一体のトランスフォーマーの犠牲だけでいい。ロディマスコンボイは言う。
違う、違う、違う、違う!
こいつは"なまえ"の話をしてるんじゃない、"嘘つき"の話をしてるんだ。だからこんなに簡単に、犠牲にするなんて言えるんだ!もう"なまえ"は"嘘つき"じゃないのに!
「なまえにだってやりたいことの一つや二つあるのに、それ全部諦めろって言うのか?!」
「故郷を失ったアルファQに友人を助けたいから星を蘇らせるのを諦めろと言うつもりか」
暗い色を湛えた瞳に、睫毛が影を落としている
わかってた。きっとこうなるんだって。
でもあいつらと馬鹿みたいに笑ってるのを思い出した。
それに"嘘"はなかった。
それに、
もう少し、いやずっと、
あいつのそばから離れないんだろうなと考えてたから、
それ以外が信じられなかったんだ。
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20話序盤。あの子がいなくなることが信じられない。