星帝を蝕む邪念が容赦なく私のスパークに流れ込んでくる。そして私のスパークさえも蝕もうと手を伸ばしているのを感じた。
ミランダU世号を追う星帝、両者はスペースブリッジ内で攻防を繰り広げている。星帝を支配するデストロンの攻撃にサイバトロンは守りの一方。
その戦果の中、別の意識が私のスパークを鷲掴みにした。
(ほう、これは...)
手に持っていたはずのライフルが甲板の上に音をたてて落ちた。今まで星帝にすら支配されなかったスパークを掴むのは誰だ。否、この状況、そんなことができるのは"やつ"だけだ。
(随分と久しいな、"ダブルフェイク")
星帝を支配している張本人、ガルバトロン
ライフルを落としながら私の思考回路は焦ることなく正常に機能していた。ううん、回路は正常でもスパークが異常を示している。
(...焦っておるのか?あれほど自分に嘘をついていたお前がか?)
今の彼は星帝そのものだ。私に干渉して、思考を読み取ることだって、駒にすることだって、記憶を書きかえることだって、
"本体"からの操作は"端末"には拒否できないのだ
ああ未だ続く攻防戦の銃声がきこえる、昔のように星帝の掌で弄ばれるのかと悟った私は戦火の中で力尽きたように膝をつく
もう今までみたいに、みんなと一緒にいられないのだ。
私はもう"なまえ"じゃなくて、昔の"ダブルフェイク"なんだ
そのときだった
こんなに不安なのは自分だけ
スペースブリッジの中に小さな光が見えた。何度も見たことがある、あれは別の場所に繋がる出口だ。
私は駆け出した。船から飛び降りトランスフォームする。そして全速力でその光を目指した。
誰かが私の名前をよんだ。"なまえ"と。それすらも聞こえないふりをして、わたしにもなかまにもうそをつく
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19話で星帝を支配したガル様がなまえとの繋がりを見つけた話。