宇宙に出るのが怖いわけではない。怖いのは"星帝との再会"だ。でもそんなことを言っていたら目的は達成されない。私たちチームコンボイはこれからユニクロンを破壊しに行くのだから。
「...っ」
でも無意識の域で手が震えていた。カタカタと金属が軽くぶつかり合う音が聞こえてくる。誰にもばれないようにその手に力を入れて拳を作る。それでも不安が払拭されるわけじゃない。自分をごまかしているだけ。こうでもしないと、前に進めないのが、私だ。
「何いまから力んでんだよ」
力がこもる拳を上から握ってくれる大きな手。はっとして見上げればバイザーにマスクが常装備の彼。
「スカイファイヤー...」
「...大丈夫だって。なんかあったら真っ先に助けにいってやるからよ」
「...。...本当?」
「ああ。俺、お前には嘘つかないからよ」
その分お前が嘘つきゃ二人分でぴったりだろ?そう言ってスカイファイヤーは笑ってくれる。その笑顔はいつだって私を救ってくれた。今だってそう。力を込めていた拳はゆっくりと開かれ、手を重ねられる。
「...信じてるね」
「ああ、信じろ!」
そう言って私の手を強く握ってくれる。
正面のモニターを見上げれば、月面の向こう側に地球が見えた。
「...いってきます、私の故郷」
「絶対帰ってくるからな!待ってろよな!」
守りあえる、そんな関係でいたい
「副司令、いちゃつくならよそでやってください。なまえ貸しますから」
それを見ていた慣れっこホットショットが言いだした。横ではインフェルノも首を縦に振っている。
「お、そうか?じゃあ遠慮なく...」
繋いだ手を引いてなまえと共にブリッジを後にするスカイファイヤー。これでいいのかとオロオロしている未熟者がロードバスター。
それを笑って見送るのがグランドコンボイ。これからユニクロンを倒しに行く団体を指揮する司令官だ。
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16話序盤。ミランダU発進直前。このあと悲劇が待っていることも知らないで。