小学生に混じって
ある日、ベプシを買ったコンビニの帰り、公園の前を通った時だった。
「なまえ姉ちゃんみーつけたっ!」
「くっ見つかった!だが缶は私が蹴る!」
小学生数人に混じって見覚えのあるアホが1人、缶蹴りをしていた。小学生に本気ってあいつ大人気ねぇな…
「あーまた俺鬼かよー」
「なまえ姉ちゃん強すぎ!」
「大人気ないぞ!」
「はっはっはっ!何とでも言え!何事にも本気で取り組め、おばあちゃんの遺言だ!」
「なまえ姉ちゃんのおばあちゃんすっごく元気じゃん!うそつき!」
「しょうがないなーじゃあ私が次鬼するよ…あ!」
やっべ、面倒くせぇことになりそうだ
「あーらきたくん」
「俺はしないからネ」
「そんなこと言わずに一緒に鬼しようよー」
「めんどくせぇ、しかも何で一緒に鬼すんだヨ」
「小学生VS高校生ということで、何なら荒北が鬼でもいいけど」
「だからやんねーって言ってんだろ!」
「えー、兄ちゃんやってくれないのー?」
「一緒に遊ぼうよー」
いつの間にかこちらに来ていた小学生に囲まれる荒北。小学生の純粋な目に荒北は何も言えないようだ
「よーし!靖友兄ちゃんが鬼だ!みんな逃げろー」
「靖友兄ちゃん…いいな…ッじゃねぇヨ!おいこら待ちやがれ!」
「30秒数えてねー!」
なまえは缶を蹴り、小学生と共に隠れてしまった。荒北は缶を拾い元の場所に置く
ハァー…何で俺がこんなめんどくせぇこと…あいつらどこ隠れた?
俺は買ったばかりのベプシを飲み、辺りをきょろきょろと見回す。おっ1人みーっけ、てか名前しらねぇし、どうしろってんだよ
「そこの木の影に隠れてる小学生みーっけ」
「うわっ見つかった!」
俺はすぐさま元の場所に戻り缶を踏む。そんなことを繰り返している内に、小学生は全員見つけ、残りはなまえだけとなった。
「チッ、あいつどこ隠れやがった…ん?何だァ?」
風が吹いてる訳でもないのにがさがさと頭上の木が揺れ、葉っぱや木くずが落ちてきた。俺は自然と上に視線をあげた
「何やってんのォ?」
「降りられなくなりました」
「…」
「笑うなら笑えよ!くそ!」
「何だか猫みたいだネ、なまえチャン」
「助けてください」
「あー…とりあえず1番地面に近い木の枝にぶら下がってヨ」
そう言われてなまえは恐る恐る木にぶら下がる。足と地面の距離は2メートルぐらいだ。なまえからすれば自分の身長の2倍の距離なので結構高い
「今思ったけど、パンツ見えてたりする?」
「俺があと少し屈めば見えるぜ?」
「絶対すんなよ、したら荒北の部屋のタンスに仕舞ってあるエロ本学校でバラまいとくからな」
「何でなまえチャンが俺のエロ本の隠し場所知ってんのォ!?」
「東堂が言ってた」
「あいつ殺す」
「ねえ、そろそろ限界なんですけど」
「あーはいはい、よいしょっと」
なまえの足を持ち、木から手を離させる。そしてそのまま荒北の腕の中に収まるなまえ
「ありがとう、地面にもおろしてほしいな」
「なまえチャン、みーっけ」
荒北は暴れるなまえを抱っこしたまま、缶の元へと向かい、そのまま缶を踏んだ
「なまえ姉ちゃんなんで抱っこされてるのー?」
「兄ちゃんと姉ちゃんは付き合ってるの?」
「違うヨ」
「そうなの?だったらなまえ姉ちゃんは僕のお嫁さんになってよ!」
「わー嬉しい!私、かずやくんのお嫁さんになるー」
「姉ちゃんくすぐったい!」
小学生の1人を抱きしめて頬摺りをするなまえ。そんななまえに他の小学生達も俺もー!と引っ付いて行く。おい小学生、そこ代われ
「荒北ー、私子沢山になったー」
「ハッ、似合ってんじゃねぇの?」
「兄ちゃんもおいでよー」
「は?」
「よし、次はおままごとかな、私がお母さんで荒北がお父さん。あとみんな子供な」
「何言ってんのォ?」
「お父さん、可愛い子供達を抱きしめて!」
誰がお父さんだ誰が
しかし小学生達に早くと言われ、仕方がなく、俺はなまえごと抱きしめる。なまえがすごく満足そうに微笑むもんだから面倒くさいとかそんなことがどうでもよくなった
たまには小学生に混じって遊ぶのもいいかもな
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