「みてみて、独眼竜政宗!」
「ぶっ」
ちょ、こっち向いて吹かないでよう。
せっかく一番に哉太に見せてあげたのに……。
「お前、なんだそれ?!」
「ん、なになに。哉太もやりたいの?いいよ。やってあげても…」
「少しずつ近寄ってくんな!あと小声でどうなっても知らないけど、とか言うなよっ」
ゼーハーしてる不良くん。
大丈夫かな。
周りを見渡すと、大きな声をだしたわけでもないのにちょっとした人だかりができていた。
騒ぎを聞き付けてか錫也と羊も駆けつけてきてくれる。
「んんっ?うるさかったかな。ごめんなさい…」
「ううん、そうじゃなくて…月和何してるの!」
え、何って伊達政宗ごっこだよ。
「いいか、月和。それのやり方を教えてもらえるかな」
錫也の笑顔に若干の違和感を感じた…というか恐怖を覚える。
うん。ここは正直に答えよう!
「えーと、用意するのは市販の練り消し、バニラの香りつき激練りくんと想像力です。
想像力をふんだんに使って練り消しを円形にまとめて…
ていやっ!
目に張り付けて完成☆」
「「「………………」」」
どうかな?
私の力作は。
「お前、歳いくつだよ」
「算数からやり直そうか」
氷のように冷たい言葉をくれる二人。
哉太はまだしも、羊にあんなこと言われるなんて…、心が折れそうだ。
あ、今折れました。
「声は大きくないよ。ただ、ねえ…」
錫也に言われてハッとする。
つまり、つまり…
「くだらないって言いたいんだね!」
なるほどね。
精神年齢ひっくとか思われてんだ。
「でもでも、日本史の勉強だよう。考えを感じる、みたいな?!」
突き刺さる視線。
誰か助けてくださいませんか?
キーンコーンカーンコーン
いいかんじのタイミングで鐘がなる。
ふぅ。助かった。
「ほら外しちゃいなさい!」
ぶーぶー。
錫也のオカン!
そして、何故おネエ言葉?
ふざけながら練り消しを外そうと…
「う、そ……」
練り消しは意外と粘着力が高く外れませんでした。
「ば、バカ野郎!どうするんだよっ」
「そんなのこっちがききたいわ!」
あー、どーしよ。涙でてきた。
まあ、でてくるのは左からだけですけどね!