「琥太郎センセーっ!!!」

がらがらガッシャーン!

扉が荒々しく開き放たれて保健室らしき場所に放り込まれた。

「か、可愛い幼女が、迷子だああああっ?!」

「落ち着け直獅…制服きてるだろ…」

「え?えぇ?!嘘だあああっ!!」

奇声をあげながらオロオロしている先生(?)。
内容はこう。

こんなちっこい子が高校生なわけないじゃん!
つか、誰?!知らないよ、この生徒!!

コンプレックスを初対面の人に指摘された、だと…?
つか、この人もちっこいではないか…。

「我慢して、自分っ!」

平常心を一生懸命たもって保健医をじーっとみる。
たすけてください…。
目で訴えかけ中。

………………。

欠伸をしてるだけでした。

………いやいや、助けろよ、保健の先生!!

さて、そろそろろ離してくれてもいいんじゃないですかね。
奈坏にぃとはぐれたままなんで、見つけにいかなきゃならんのですよ。

保健医が助けてくれないので、しょうがなくちっこい人とお話し。

「先生かわからないけど先生、離してください…」

「失敬な!俺は、俺は先生なんだぞっ」

ストン

先生(なんですか?!)は怒っているような口調で返事をして、今まで掴んでいた襟首を突然離した。

不可抗力でいとも簡単に落ちる。
下は冷たくて固いタイル張りの床。

「………痛い…です…」

あまりの出来事に対応しきれず、咄嗟にでた言葉はこれだった。
先生もちっちゃいから、そんなに高さはないんだけど。
でも、いきなり落とされて受け身をとれるほどの運動神経は持ち合わせてないよ、普通…!

あれか?嫌がらせなのか?!

顔を上げてキッと涙目で睨むと、先生が申し訳なさそうな顔で大丈夫か?と、手を差しのべていた。

内心、チッと舌打ちをしていたがここは私が大人になってやろう。

「大丈夫ですよー。小さい先生の手なんか借りなくても」

そう言いながらあえて自分の手を使い、立ち上がる。

「お前、俺のこと嫌いだろ……?」

「え、好きじゃないですよー」

かっこよく男泣きしてる先生。

不覚にもキュンとした。

………かっこいいのは男泣きという行為であり、先生ではありません。
……先生ではありませんっ!

「職員室どこですか…」

約束の時間が過ぎているのに気付き、本題を切り出してみました。

やっと、やっと言えた…!

「私はそこで陽日先生に会わなければいけないのです」

私の言葉に固まる小さな先生。
保健医がお茶を吹き出したのがみえた。

え?なんか私、間違えました…?
もしかして、職員室って言わないのか?そうなのか?
えー、例えばSSとか?職員室の短縮でSS…。
……凛々蝶さま、どうにかしてくんないかな。

すると、突然、私を落とした小さな先生がオズオズと手をあげたのだった。
ビクッとなる私。

「お、俺が陽日直獅だ。転校生の中司月和か……?」

「…………そうです」

そうですか…。
この人が私の担任ですか。
白衣を羽織っているのに、うとうとしている仕事をしていない保健医をチラリと窺うようにみると、よくわからない笑みで返してくれた。

「はははっ!天文科はこっちだぞ。じゃーまた、琥太郎センセ!!」

そう快活に笑って私を引っ張るようにして保健室を後にした。

つまりは笑顔で色々誤魔化されました。

なんだか、上手くやっていける自信がないのですが…。

私の気持ちを知ってか、いや、知らないだろうけど陽日先生は何故だか上機嫌で、元気な笑顔で色んな話をしてくれた。

「ほら、ここだ。男ばっかで何かと不便だろうが頑張ってこうな!!」

チャイムはとっくになっていて、先生は少し早足になりながら言った。
奈坏にぃに連絡しなきゃ、ということをすっかり忘れていた私は胸がドクンと大きく鳴っているのを感じていた。

………緊張と、恐怖で。

絶対、奈坏にぃにけじめをつける、もとい、虐められる。
やべぇ………。

「さ、入るぞ…!」

ワイワイとうるさかった教室が静まった。

とりあえず、昨日寝ないで考えた自己紹介、頑張ろうっと。
嫌なことは忘れて☆




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