重い足を引きずってたどり着いたのは生徒会室前。

うわぁ、やだな。
なんでまた変態、変な前髪の会長に会わなくちゃいけないんだよう。

「はぁ…」

「………どうしました?」

「うあぅあっ!?」

「中司さん!な、シャープペンを向けないでくださいっ!!」

び、びびったぜぃ!
誰かと思えば青空くんではないですか。
ふわふわというよりふあふあな髪が素敵に宙を舞っておられる…。
可愛いな、オイ!

「可愛い青空くんよ。私の背後に立つな……あああダメ!黒板ダメ!イジメかっこ悪あああ!!」

青空くんはミニ黒板を掻き鳴らそうとしてから仕舞う。
これ、脅し?

「可愛いに突っ込むべきですか、それとも台詞に突っ込めばいいんですか?あ、笑えばいいんですか?」

おろ?青空くんが遠い目をしてる。
ああ、あの会長がいれば大変な目にもあうだろうなー。
青空くん、しっかりしてるし。

「ストレス溜まったらさ、一緒に会長の前髪ぱっつんにしにいこう」

肩に手を置いて、会長のことを思い出してみた。

「中司さん、あなたも遠い目をしていますよ…」

あ、やっぱり?
んじゃ、

「狩りにいこうぜ!」

「そんなモンハンみたいなノリで言われても…」

あのクソ会長をできることならフルボッコにしてやりたいと思わないのかい?!

青空くんは即答した。

「したいですね」

あ、あああおぞらくん笑顔が黒い!
錫也と肩を並べるぐらいだねっ。
相当苦労してるんだろな。
うん。この際、キャラ崩壊とか気にせず会長いびりに走ろう!

「人狩り行きますか!」

「…………お前はなんで文具を構えて生徒会室前にいる」

「ターゲット発見」

「うわあああああ?!意味がわからなあああ前、前髪があああ!俺の前髪いいいぃたあああ!!!」

会長なんか変な前髪という特徴がなけりゃ生徒Cぐらいでしか登場できないんだよ!

ホッチキスで流れにはんした前髪をパチンと右にとめてやった。

「出会い頭に…ひでえ。まさか月和、お前…」

「どうしましたか、通行人Cさん?」

ランクダウンしてる…、そう呟いているモブキャラ。

「あっ月和だぬーん!」

突然生徒会室の扉が開いて、前髪をあげた大きい目をした顔がひょっこりのぞいた。

「翼くん!お久しぶりっ」

ぎゅうー

翼くんに助走をつけてから飛び付いた。
そして、温かい胸に顔を押し付ける。
すると、翼くんもぎゅうっとしてくれた。

「月和、ごめん。離れてっ!」

そのあと、何も聞こえなくなって驚いている私の目の前では翼くんとバ会長が悶えていた。
青空くんのお仕置き執行されたらしい。

「……ふぅ」

呆れたようにため息をついて私にしていた耳詮を外す。

「青空くん…?」

「名前…で読んでくださいよ…」

「ふぇ?」

おかしい…おかしいぞ?

「うわああ!青空くんがデレたッッ!!」

凄い!貴重すぎる!
可愛いっ青空くん可愛いよ!
お持ち帰りしたいーっ!!

「颯斗…でしょう?」

ニコっと可愛らしく素敵に微笑まれて反射的に名前を呼ぶ。

「颯斗くん!」

「何ですか?」

「可愛くて好きですっ!」

ハッと後ろで息を飲む声がした。

そう言って、颯斗くんに思いっきり抱き着く。
颯斗くんはびっくりした顔をしていたけど私を受け止めてくれて透き通った笑みで頭を撫でてくれた。

「俺のことはー?」

隣に翼くんがいつの間にかいて上目使いで訊いてくる。
もちろん、好きに決まってるよ翼くん?
答えると満面の笑顔になり歌?をきざみだす。

「月和、俺のことも、」

「どうしました?会長」

「お前、俺の名前覚えてないだろ」

覚えてますよ。
返答すると会長は目を丸くした。

「…………会長…」

「………それ、名前じゃないから」

ダッシュで逃げました。
結論、カッコつけダメ絶対。




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