ただいま、お昼休み。

購買でなんのパン買おうかなー。
こないだ食べたメロンパン、美味しかったしそれにしようか。
いや、でもここは違うものを選択すべきでは…?
おばちゃんにおすすめきこうっと。

そんな風に今日の昼食について一人で葛藤している時にヤツが来やがった。

「お、いたいた。中司月和!止まるんだっ」

突然知らない人にひき止められた。
そして、ふと思い出す。

「見知らぬ人に声をかけられたら、是が非でも逃げろ」

幼い頃、お兄ちゃん達に叩き込まれた言葉。
考えるよりも先に体が動いていた。

「なんで逃げるんだよ?!待てって…!」

待てと言われて正直に待つヤツはいないよ!
スピードをあげて廊下を走り抜ける。

よいこは真似しないでね、お姉さんとの約束だよーっ!

「曲がり角はっけーん!」

これで撒けるはず。
きっと、大丈夫だよね!

そう確信して勢いよく左に飛び出した。

その瞬間、どすんという鈍い音とともに視界が真っ黒く塗りつぶされる。

「ひゃうっ?!」

思いっきり尻餅をついて転倒した。

いたたたた…、痣になっているであろうお尻をさすりつつ顔をあげると、そこには…

「月和…。大丈夫かぬーん?」

「あぁ、翼くんか!うん。だいじょぶ」

心配そうな表情をしている翼くんが手を差し伸べてくれていた。
そして私の言葉を受け、安心したように笑顔をみせてくれたのだった。

「そうだ!翼くん、私追われてるの。隠れさせて…っ!」

「ぬはは!月和のお願い事ならいいよ」

ちっこいし!という台詞はこの際なにも突っ込まないでおこう。
助けてもらってるんだし。
そう自分に言い聞かせて息を潜める。

「はぁはぁ、つばさっここに月和、中司月和はこなかったか?!」

「……………きたぬーん。ほら、ここ」

ふふふ、ざまあみろ。
追いかけっこは逃げるだけが手法じゃない。隠れるってのもあるんだよ!

んんっ?なんかおかしいぞ?
あれっ?翼くん今なんておっしゃったのかしら??

「よーし、でかした翼!さあ、来てもらおうか」

ぐいっと首根っこをつかまれて、逮捕された。

翼くんの裏切り者ーっ!という悲痛な叫び声は喧騒に呑まれて悲しく消えましたとさ。
 
 
 
 
「…………ここって、生徒会室……?」

「ああ、そうだ」

ストン、と下ろされる。

「どうしてここに私をつれてきたんですか?」

ネクタイをみて気づいたことだが、どうやらこの人先輩らしい。

「あ、それはだな……」

先輩はわざとらしく咳払いをしてから溜めに溜め、ようやくそれを口にした。

「生徒会、庶務にならな「いやです」

「最後まで言わせてくれないか?!」

「えー…………」

「そんなあからまにテンション下がった顔すんなよ…」

突然拉致されて、突然入れと言われてもねえ。
素直に頷く方がおかしいと思います。

「お前の噂はよーく聞いていた。楽しいことは俺が保証してやる。だから………」

だから生徒会に入れっていうの?
会長かな…この人。
直感でそう思った。
色々と強引だしなー。

噂については知らぬが花でなにも聞かなかったことにしようと思う!
最近、多いな、聞かなかったことにするの……っ!

「嫌ですよう。だって……」

直後泣きながら廊下を走る会長(?)が確認された。

少なくとも好きではなかった。
というか、段々と面倒くさくなってきていた。
だから、本心をありのまま伝えることにしたのだ。

「だって……………あなたのことが嫌いだからです」

オブラートに包まずはっきりと。





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