チョコレートの独特な甘い香りであたりはいっぱいだった。
あまりの香りにむせそうになる。

「せんぱーい、まだですか?」

うっさいわ、ぱっつん。

「早く食べたいぬーん」

…………………イラッ。
この自由人め…。

「今つくってる…てか、なんでいるのっ?!」

私の問いかけを無視して椅子に座る宇宙科組。

実は…食堂を借りてお菓子作り…まあ、バレンタインのチョコを作っている最中なのですが…………。
いつのまにいた、宇宙科組よ。

「先輩レーダーが反応したんですよ」

「いやいや、梓くん。あなた、アホ毛ないデショ」

「違います。前髪が反応するんです」

「なん…だと…?!」

梓くん、とうとうぱっつんを売り始めたらしい。
どうしたの?
何かあったら、お姉さんに言うんだよ…?

「前髪だって、個性ですから」

はんっと笑われた。
嘲笑された。
でも、開き直ったってことだよね。

「月和ー、お菓子作るのだー」

おいおい翼くんよ、自由人すぎないかい?

「翼くんのお菓子の安全は保証できないよー?」

「うん。味は気にしない…って安全?!」

「あはははーやだなー翼くん!」

「だよ…な…」

「……食べられるよ、……きっと」

「こえぇえっ!!」

怖がらないで、手を差し伸べて…!

有名なあの台詞もこの場面では通らなかった。

え?古い?よし、お前ら全員起立。

「ちょ、先輩!手元みてください」

梓くんに言われて下をむくと、生クリームが生クリームの原型をとどめていない、固形物みたくなっている。
動物性を使ったのが運のつきだったのだろう。

まあ、いいや。
またあとでゆっくり話しましょ。
……………半日ほど。

とりあえず固形物の処理を先にします。

「うわぁ、バター?なにこれ」

「僕が聞きたいですよ…」

「翼くんこれ食べ「ない」

翼くんに今までないようなスピードとキレで断わられた。

じゃあ、いいや。
あとで会長にあげよう!

「残酷なことしますね」

「ぬいぬい…」

さすがにコレを会長以外の皆さんにあげるわけにはいかないので二人に一時間だけ外にでてもらった。

「ちゃんと作れるの?」

翼くんに言われたくはない。

「べー、またあとできてね。私の力を思い知るが良い!」

あはは、と笑いながら二人は食堂をでていった。
あの後輩たちめ…。
私だって料理くらいできるもん!












「え、え?」

「嘘なのだ…」

二人にお菓子をあげた時の反応。
おかしくね?

「これ、月和がつくったの?」

「ううん。実は錫也に作ってもらったの!えへへー」

「なるほど。先輩が作れるわけありませんよねー」

少しほっとしたような、ぱっつん。
……待てよ。
私、作ったよ?
冗談だよ、ジョークなんだよ?

「わかりましたよー」

「そっか…」

「わかりましたっ」

すこうし、前髪専用ハサミをみせるとぱっつんは大人しくなった。

君の個性をすべて切り刻んでやろう!

「わかってくれたならいいよ」

「美味しい…のだ…」

んんっ?

「本当だ…」

気づけば二人は包みをといてチョコを口へ運んでいた。
さすが、のびのびとした性格!
つか、自由奔放すぎないか。

「ありがとうなのだっ!」

「ありがとうございます!」

そして、笑顔。

うっ…。

二人の笑顔につられて笑っている自分にびっくりした。





 
魔法はひとふりの砂糖とsmile
 
 
 
 
 
 
ぐだぐだすいません!
あと、甘くない……
書けないよ、甘いの!
 
 



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