「探した」
「ごめん」
「あんたを探した。ずっとずっと探してた。もう見つからないと思った」
ブラックは意味もなく涙を流した。全ては宙に浮いていた。その雫は頬に落ちることなく、空気が泣いているようだった。
「ごめん」
「そんな言葉が欲しい訳じゃあない。あんたはなにも分かってない」
「ごめん」
ひとつぶひとつぶを目で追いながら、Nは小さく笑った。それは宇宙の中でたったひとりのNの笑顔だった。ほかの誰でもない唯一の存在だというのに、それはあまりにも確かでなくてブラックは戸惑いもした。
「さあ、もう」
目覚めなくては。
この嫌な夢から。
「ごめん。ボクはボクじゃないんだ」
「嘘つき」
「それはキミだろう」
綺麗な
嘘
の
作り方
20110926