ブラックの眼を通して見る世界はどんなだろう。ボクとは違える思考を持った視点はいつもどこに向かうのだろうか。
(決してボクのことなど進んで視界に入れようなどと考えてはいないだろう)
自身瞼の上からそれに触れると、円をなぞり上げて、柔らかい皮膚をひっぱり上げる。瞼の裏は薄ピンク色だ。目玉を取り除くとその先の皮膚は一体どんな色をしているのだろう。こんなことを考えているのだから、ブラックに変だとか言われるのだろうか。
ブラックはボクのことを不思議だ、変だと言うけれど、うん、確かにそうかもしれない。最近分かったよ。ボクがニンゲンとは少し違うということが。
そうしたら周りが急に怖くなった。常に誰かから見られているような不快な感覚に身を震わす。それから夜が、闇がもっと恐ろしいものへと変貌したかのようだった。ボクを包むものは暖かい太陽のベールではなかった。目には見えない紺碧が網膜に焼き付いて離れなかった。
それでも眼を閉じないボクに唯一勇気をくれたものも、その紺碧だった。ブラックの瞳は光が差し込むと様々な色が掛かったように見える。その色の中でブラックの淡い紺碧が特に美しかった。それがボクの一番のお気に入りであったのだ。
それからその瞳は、ブラックのこころのようだと途中まで考えて止めた。ボクは彼のことを理解することができない。ボクがブラックについて決定的なことを述べられるほどボクはブラックについて理解しようと考えていなかったのだ。
しかし理解はせずとも、知りたいとは思っている。なぜここまで違うのか不思議でたまらない。もっともっとブラックのことが知りたくてたまらなかった。ボクは口でうまく伝えられないから、キミの視界からキミを知って、ボクの眼でボクの意志を届けたいんだ。

ねえ、キミの眼が欲しい。
キミが欲しい。






ト・ブルー

(それが恋心だとも気づかず)
110121
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