from two second to four forth | ナノ


from two second to four fourth


唐突にルーナは顔を上げる。

――ルーナが家を出たわね…

黒の教団本部にいるルーナは書類に目を向ける。

――掃除したら戻そう……

そろそろ彼女にも疲れが出てきた。
普段は彼女の自宅にしか幻術を使っていないが、今回は大きな教団、たくさんに人に幻術を使っているのだ。
しかも数時間に渡って。
彼女は一晩寝ずに仕事をしながらコムイの薬の完成を待っていたのだが、いい知らせは全くない。
飴が切れてきたので、新しい飴の袋を開ける。

――何で全部飴の味が同じなのよっ!! 集中力が切れるじゃないっ!!!

ルーナは普段飴のお陰で疲れを感じない。
しかし、コムイが何日か前に買ってきた飴が全て苺味でそろそろルーナの舌が麻痺し、効果が薄くなっているのだ。

――早くしてくれないと…


「…ルーラも起こしに行ってこよう……」

そうしてルーナは席を立ち、ルーラの部屋に向かう。
その途中、食堂へ寄り、ジェリーにレモンを貰おうとしたのがルーナの運の尽きだった。




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「ジェリーさん… レモンクッキーを下さい……」
「あらん?ルーナちゃん、いつにもなく眠そうねぇ」
「そりゃぁ…フアァ」

欠伸で言葉が途切れる。

「分かったわんv ちょっと待っててねvV」

ハートを飛ばして、ジェリーは厨房へと入って行った。

「ん?ルーナさ?」

後ろから声がする。
ルーナが振り返って見ると、ラビ、アレン、リナリーがいた。

「おはよう、ルーナ」
「おはよー」

ルーナも返す。

「おはようございます」
「おはよぅさ」

続けてアレン、ラビも言う。

「おはよぅ…」

仄かにルーナは笑って言う。

「はい、ルーナちゃんVV」

踊りながら厨房から出てくるジェリーから皿ごとクッキーを受け取る。

「あ、ジェリー。Bランチお願いね」
「分かったわ〜んvVV」
「じゃあ…」

別れを告げ、ルーナはルーラの所へ行こうとした、が。

「ルーナ、それ少し下さい」

アレンが皿の上のクッキーを取ろうとする。

「ルーナが頼んだのだから、甘いんですよね?」
「アレンにやるんならオレにもくれさ」

ラビも便乗してクッキーに手を伸ばす。

「…」

ルーナが目を見開く。

「「!!?」」

アレンとラビの体が硬直する。

「ごめんけど、これルーラのだから…」

ドン

後ろを向いて話していた為、誰かとぶつかった。
そしてその弾みで皿の上のクッキーは零れる。

――っ! 幻術では止められないっ!!!

これが幻術の難点であった。
幻術の中でも心がなく、幻術で作りだしていない物の場合、術士は操作できない。

「伸っ」

横から出てきた大槌小槌が皿を受け止める。
集中をルーナがラビから解いたため、動けるようになったらしい。

ルーナとぶつかったのは捜索部隊だった。

「すいません!大丈夫ですか!!?」
「大丈夫です。。すいません…私も前を見ていなかったから……」

そう会話を交わし、捜索部隊は急いでいるようで行ってしまった。

ルーナは見事ナイスキャッチを果たしたラビからクッキーを受け取る。

「ありがとう」

小さく微笑んで言う。

「こっちこそ無理矢理クッキー貰おうとしてごめんさ」
「…いいの、一つあげるわ……」

クッキーを手に取り、ルーナはラビの口の中にクッキーをいれる。

「あひあほ…(ありがと…)」

ラビは少し頬を赤くして言う。

「ずるいですよ、ラビ!」
「そうよ!!」

リナリーも参戦し、言い合いとなる。

「リナリー出来たわよ〜vV」

先に注文していた物が出来ても、リナリーは無視。

「…二人にもあげるから……」

ルーナは少し呆れ顔。
リナリーとアレンにもクッキーを渡す。

「ルーナは食べないの? アーン」

アーンと言われると口を開けるのが人間である。
リナリーは皿の上から一つクッキーを取り、ルーナの口に入れた。

「!!??」

ルーナは甘くないものを食べてしまった為、気絶

「「「ルーナ?」」」

ルーナは床に倒れてしまった。
それをラビが起こす。

「何さ…この尻尾……!」

ルーナが意識を失った為、幻術が解けてしまっていた。




2010.1.6./12.3.27.


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