from two second to four fourth もう街には街灯が点き、闇夜の道を照らす。 既に外に出ている者はいない。 カーテンの影から幸せそうな家族のシルエットが映し出される。 そんな煉瓦敷きの道をルーラと神田は歩いていた。 「宿、どうしようか」 そう、宿を取っていなかった為、2人には帰る場所がなかった。 「ごめんね、あたしが勝手に行動したから…」 ルーラが一方的に喋る。 「気にするな」 初めて神田が口を開いた。 「もうAKUMAは破壊したんだ。 教団に帰ればいいだろ」 「そうかな…」 「そうだ」 「…ありがと、ユウ」 ボソッとルーラが言った。 周りが静かだった為普段は聞き取れなかったかもしれないが、今回この声は神田に伝わった。 「………アレン、何処?」 そんな疑問が出たのはそれから数十分経ってからの事。 ------------- 「ヘックション!!!!!!」 このくしゃみの主はアレン・ウォーカー。 極度の方向音痴である。 「困ったなぁ…」 辺りをキョロキョロと見回すアレン。 何故か暗い森の中にいるアレン。 「ティム〜」 頭上を飛ぶティムキャンピーに問う。 「此処何処?」 その答えをティムキャンピーが持っているはずもない。 「うぅ、どうしよう…」 アレンは頭を抱え、しゃがみ込む。 ――ルーラは見つかったのだろうか。 ふっと頭に過る。 唯一の月明かりも雲で隠れ、アレンの元に届かなくなってしまった。 「あ、やっと見つけた」 探したんだよ、とアレンの元に近づいてきたのは彼の探していた人だった。 「ルーラ!!?」 立ちあがってアレンはルーラの所へ駆け寄る。 「どうして此処に!?」 「アレンを探しに」 続けてルーラが言う。 「あの時は勝手な行動してごめんね?」 俗に言う上目遣いでアレンに謝る。 「…いいですよ、僕も迷子になったことですしね」 「アハハそうだな」 笑い合って、言う2人。 ルーラの口調はいつも通りだった。 「街はこっちだ、アレン」 2人は街に向かって歩き出した。 「あ、アレンそっちじゃないぜ!」 「す…すいません」 「此処街から3km離れた場所なんだから、急ぐぞ」 「そうなんですか!」 「それにユウも待ってるしな」 アレンが神田の名前が出たことで少しムスッとした表情になったがルーラには気付かなかった。 ------------ 1時間ほど歩いた頃。 ウィィィイイ・・・・! アレンの左目に変化が現れる。 「AKUMAだ!」 「え? 本当だ」 アレンが走り出す。 「待って」 ルーラがアレンを止める。 「今は早くユウの所に戻ろう」 「でもAKUMAが…!」 「大丈夫、後一体… ほらもう終わった」 アレンの目にAKUMAの反応はなくなっていた。 「あたしの幻覚が届いたから」 何故?というような顔をしているアレンにルーラが教える。 どうやらルーラの幻術でAKUMAを破壊したらしい。 「そういう事ですか。 幻術って凄いですね」 「んーそうか? …あっ街だ。 流石最短距離を通っただけはあるな」 「最短距離?」 「あたしらは森の中を一直線につっきって行ったんだ。 アレンは幻術で気付かなかっただろうけど」 「やっぱり幻術って凄いじゃないですか…」 「…因みにあたしも幻覚だし」 「え!!?」 「ほら、あれが本物」 街外れに2人の影が見える。 「えぇ!!!?」 ルーラの指先を見て信じられないという顔をするアレン。 1人は神田で、もう1人はルーラだった。 ------------ 「ほらユウ、来たよ」 ルーラは横を見上げる。 身長差からいって、どうしても見上げた形になるのだ。 「幻術でモヤシを探して連れて来たんだな」 「その通り。 ま、こんな広い範囲を対象にしたのは久し振りだけどね〜」 ――イノセンスがあったからこそだけど。 胸に秘めてそう思う。 アレンが神田側のルーラに近づく。 「酷いじゃないですか!幻術だと教えてくれないだなんて!!」 「あーハイハイ」 「気付かねぇのが悪いだろ」 「…神田もう一度言ってくれます?」 いつの間にか黒い会話へと化した。 そんな2人をほっておいといて、ルーラはルーラに近寄る。 「お疲れ様」 ルーラがパチンと指を鳴らす。 とたん、道案内をしたルーラは黒い薔薇の花弁となり消えた。 そこに残ったのはただルーラが起こした風だけだった。 「ほらほら、帰ろうぜ」 ルーラが神田とアレンん背中を押し、3人は帰路へとついていった。 [←] [→] [back] [TOP] |