from two second to four forth | ナノ


from two second to four fourth


ルーラを探すために神田と別れたアレン。
アレンは街中にルーラがいると踏み、色々な所を歩きまわっていた。
ちょこちょこと食べ物を買い、ゆっくり歩いていた。

「なあ、ティム。 ちょっと上に上がってルーラを探してきて。
 僕は聞きこむから」

ティムキャンピーは心得たというように上空へと舞いあがって行った。



「さてと…」

ちょうどアレンの視界に入った、籠を持った女性の人に声をかけることにした。


「あの、すいません」
「はい?」
「こんな紋様をつけた長髪の人が通りませんでしたか?」

紋様というのは胸に輝くローズクロスのことだ。

「かなり美形なんですけど」

これを言った時、アレンは自分の顔が赤くなるのを感じた。
女性は少し悩むそぶりを見せてから、手をたたいた。

「あ! あの方ね!!」
「知っているんですか!!?」
「その方ならこちらに行きましたよ」
「ありがとうございますっ」

深々とアレンは頭を下げ、走って指さされた方に行った。

――ルーラ。

走りながら想う。



その後も何人かの人にアレンは尋ねた。

「こんな服を着ている人を見ませんでしたか?」
「長髪の人なんですけど…」
「美形でこういうコートを着ているんです」

何度も尋ねた。

「その方見ましたよ///」
「あの方ですね!」
「その方はこっちへ行きましたよっ///」

こんな反応が多かったようにアレンは感じた。
ティムキャンピーが戻って来る訳でもなかったので、たまに食べ物を買い女性に尋ねて回る。

…ルーラを想いながら。



「すいません、人を探しているんですけど。
 こんなコートを着た人を見ませんでしたか? 髪を結っているんですが」
「あ、さっきすれ違いましたよ」
「本当ですか!!? ありがとうございます!!!」

――この先にルーラがいる。

アレンは走って行った。
もうこれでもかっていうくらいに。


――ルーラはあの時泣いていた。

歯を食いしばっていた。
アレンは見たのだった。
ルーラの頬に滴る涙を。

――ルーラにどんな過去があるか知らない。

コートが翻る。

――好きな人が泣いていたら側にいたいと思うのが普通・・で・・・しょ…。


アレンは長髪で髪を結っていて黒いコートを着ている美形な人にばったり出会った。


「か…神田!?」
「てめ…もやし……」
「何で神田がそんな所にいるんですかぁぁあ!!!!?」
「てめぇが追いかけてきたんだろうがぁぁあ!!!!!!」
「はい? 濡れ衣ですね、それ」
「は。 この期に及んで逃げるつもりかよ」
「なんでこんなぱっつんから逃げないといけないんですか」
「てめぇがひょろもやしだからだ」
「だから僕はアレンですって!」
「どこからどう見てももやしじゃねーか」
「はぁ、そうですよね。 神田の脳は猿以下なんですよね」
「そうか。 もやしだから自分がもやしだってことに気付かなかったんだな」
「神田はでしょ」
もやしが」

神田は六幻に手を掛ける。

「? なんですか、そのブレスレット」

神田が右手に付けていた2つのブレスレットは六幻に手を掛けたためチリンと綺麗な音を立てた。

「フン。 てめぇには関係ない」
「へ〜言えないような汚い手を使って奪ったんですか〜〜」
「んなことすっかよ。もやしじゃあるまいし」

神田は六幻から手を放し、アレンに背を向ける。

「邪魔すんなよ、もやし」

とだけ言い放ち、スタスタと人ごみの中に紛れていった。


「邪魔をしているのは神田の方でしょ」

アレンは神田には届かないだろうが、負けていたような気がするので言い返した。




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それからアレンは「女性」という言葉を強調して人に聞いて回った。
あれから少し考えて「女性」ということを忘れていたということに気付いた。

――僕が「美形なんですけど」と言って神田を連想されるのは心外です。

アレンはつくづくそう思った。


日が暮れ、もうすぐ闇が迫るといった頃、ティムキャンピーが戻ってきた。

「ルーラ、見つかった?」

ティムキャンピーは小さな体を横にぶんぶんと振る。

「何処に行ったんですか、ルーラ」

アレンは独り言のように言った。




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