from two second to four forth | ナノ


from two second to four fourth


――許せねぇな、あのモヤシ

神田はいつまで経ってもルーラから離れないアレンに怒りが積り、今はいつもの五倍増しでイライラしていた。

――いますぐ地獄に送ってやりたいが…

チラっとルーラを見る。

――ルーラを巻きこむ可能性を否定できない…

大人になった神田だった。

――後でしばく。

…訂正しよう。 
 少し成長した神田だった。





「すいません、これ下さい」

レジの奥に向かってルーラが叫ぶ。
が、一向に店員が現れる気配はない。

――さっきのアクマに殺られたのかな…

ルーラはそんな不安を持ち始めた。


そしてルーラは幻術の域を広げた。

――…この店には、あたし達以外いない………

一番なって欲しくなかった状況であった。


レジにお金を置いて少しの間、目を閉じる。
黙祷をして少しでも安らかに、という気持ちを込めてである。

「行こ。 ユウ、アレン」

ルーラは俯いたまま二人の前を通り過ぎた。




ルーラには、人一倍アクマに殺された家族の気持ちがよくわかる。
実際に経験した者だからだ。

アクマに殺された親の仇をとろうとしたルーナがキリっとした表情で立っていたのを覚えている。
しかし、人間がアクマに敵うはずない。
イノセンスなしの幻術で対抗しようとしたルーナの幻術はいとも簡単に破られた。
そして、火が見えてルーラは気を失った。

次に起きた時はルーラはルーナとも弟のジルとも引き離され、冷たい雰囲気のする部屋のベッドにいた。


あれから何度も思いだす。
ダルティック家の忘れられない過去。
それをアンティーク屋の人と重ねる。

頬が濡れた。




ルーラは足早に去って、神田とアレンは取り残された。
もうルーラの姿は見えない。
神田とアレンは一言も言葉を交わさず、ルーラを探すために別々に違う方向に向かい歩き始めた。


2009.8.29./12.3.27.


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