D.gray-man Novel | ナノ



D-gray.man


ジジイの怪我も治ったある日。
(ジジイの怪我は全身打撲くらいで、全然大した事なかったさ)


戦争が終わった。


この国の王は軍を歓迎し、その軍は隣国の侵略を達成したのだ。
王の側にいれたオレはたくさんの情報を手に入れる事が出来た。
軍とこの国は繋がっていたからだ。
時々、軍のお偉いさんが訪れた時もあった。
もちろん、オレは軍人でないことがばれないように隠れてたさ。
この国王が抜け道などを教えた結果、早く戦争が済んだわけだが…

オレは…ディックとして、オレは…

ここに居たい。



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「どうも、お世話になりました」

ジジイが頭を下げる。
何、その睨み、オレも頭下げろってか。

「お世話になりました」

しかし、この状況でジジイに逆らえるわけないので、従っておく。

「こちらこそ、あの時は…」
「もういいんです。
 私がいけなかった部分があるので…」

ジジイが私とか…
役に成り切ってるな(笑)

今ここは城の玄関。
王とジジイとオレがいる。
ななこはオレ等がここから出ていくと言ったきり、ご飯の時にしか見なくなった。
ななこ、オレ、ななこの顔を少しでも見ておきたかったのに―――


「ディック!!!」


部屋から飛び出してきたのだろう、ななこがドレスが捲れるのも気にせず走ってきた。

「こら、ななこ! 客人の前だ、お淑やかにしなさい!!!」

そんなことは気にせず、ななこは走り寄って来た。

「ディック…!! これ…」

走ってきて、息が上がっていたが、何かオレンジの物をオレに差し出す。

「何さ…?」
「どこか、へ、行くって聞、いたから…」

オレはそれを受け取り、広げてみる。
それはオレンジ色のマフラーだった。

「ななこ…」
「はい?」

オレは肩に手を置き、パクパクと口を動かす。
ななこの顔が真っ赤になるけど、オレは気にしない。


「じゃあな、ななこ」
「はい、ディック…!!」


マフラーの秘密
(マフラーの隅に編み込まれた、ななことオレのイニシャルの形は歪だった)




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