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今までどこにいたのか、暫く姿が見えなかったサンジくんがキッチンに入って来た。

実は私は密かに彼に想いを寄せていたりする。どれくらいの想いかと聞かれると困るが、少なくともこの船に乗ることを決めたのも彼がいたからと言っても過言じゃないくらいには好きなのだ。しかし、私がこの船に乗って間もないというわけでもないのに2人きりというシチュエーションは今までなかったから彼の登場に嬉しさはあるものの、2人きりだと考えるとついどぎまぎしてしまう。




『うん、何か急に食べたくなっちゃって。ごめんね、勝手にキッチン使って』

「いや、そんな事はいいんだが、言ってくれればおれが作ったのに」




リィキちゃんのためにとびっきりのヤツを。というサンジだったが、食べたいという理由の他に作りたくなったから、というのもあったから私は首を横に振り、自分でやりたかったのだという意志を示す。するとサンジはじゃあ、手伝うよ。と言って近づいて来るものだからますます焦ってしまった。




『ありがとうサンジくん。でも、私だってこの船にのる前は結構色々自分で作ってたんだよ?』




一人で大丈夫だということを伝え、近づく必要をなくそうとするが、サンジくんは納得したように頷いただけでもうすぐ隣まで来てしまった彼がそこから動く気配はない。それどころか、私の手の動きをじっと見てくる。見られるのは慣れていないのでなんだか居心地が悪い。ましてやサンジくんが傍にいることで心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと気が気じゃなかった。




『サ、サンジくん!!あ、あの…味見してみる?』




私はその場の空気に耐えられなくなって咄嗟にヘラを持っていたのと反対の左手小指でチョコレートをすくい上げると彼の前に突き出してしまっていた。
しかし、よく考えてみるとこれではまるで自分の指を舐めろと言っているに等しいことに気付き青くなる。




『な、なーんてね!!チョコ溶かしただけなのに味見とかないよねー…って、えッ!?』




慌てて引っ込めようとしたが、その手はサンジくんにガシッと掴まれ、勢いで垂れそうになったチョコレート諸共そのまま彼の口の中へ入っていってしまった。

ただ茫然と眺めていると、チョコレートを全て舐め終えたサンジくんがチュッというリップ音を立てて小指を離す。




『…』




サンジくんが私の指を舐めた…。バクバクと五月蝿い心臓の音に頭がおかしくなりそうになりながら私はじっと自分の小指を見つめる。そして何を思ったのかおもむろに自分の口へもっていくと私はサンジくんが舐めた小指を自分の口に含んでいた。




「…リィキ、ちゃん?」

『!!?』




サンジくんの声にハッと我に返った私は自分のしたことに気付いて顔がカッと熱を帯びた。呆気にとられたような彼の顔に頭がパニックになる。




『ご、ごめんなさい!!!!』

「リィキちゃん!?」




私は驚いた顔をするサンジくんの横を猛スピードで駆け抜けると脇目も振らずキッチンを飛び出してしまった。




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