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ドレスで着飾って準備も万端。問題はその食事会とやらの会場が何処なのかということだ。そこで私は沢田さんに付いてお屋敷の中を歩きながら問い掛ける。




『沢田さん、食事会ってここでやるんですか?』




こんなに大きなお屋敷だし、たくさんの人を招待しても差し支えなさそうだが、それらしき準備や飾り付けはされていない。てっきりここが会場になるのだとばかり思っていたがどうやら違うらしい。その証拠に沢田さんは首を左右に振って答えた。




「違うよ。ホテルに会場をとってあるんだ」

『ホテルですか?』

「うん、さっき迎えを呼んどいたからもうすぐ来るはずだよ」




そう言いながらお屋敷の扉を開けた沢田さん。外に出ると、丁度目の前に真っ黒な高級車が横付けされたところだった。バタンという音を立てて車からビシッとスーツを着こなした黒髪の男の人が降りてくる。うっわイケメン!!…じゃなくて、何言ってんの自分。この人誰?っていうか、凄い…この人。目力?ううん。
全身から出ているオーラが殺気立ってる!?

あまりのオーラに私は思わず沢田さんの後ろに隠れてしまった。身の危険を感じたというわけではないが、条件反射というヤツだ。




『…沢田さん』

「ん?あぁ、紗佳ちゃんはまだ会ったことなかったね。彼がボンゴレ雲の守護者、雲雀恭弥だよ」




へぇ、彼がボンゴレ最強と噂の…。私は車から降りてこちらに近づいてくる男の人を沢田さんの陰からマジマジと観察した。




「早かったですね、雲雀さん」




凄まじいオーラをもろともせず涼しい顔で声をかける沢田さん。雲雀さんの眉間の皺が更に深くなった。しかめっ面なのに格好良いってどういうことなの。そりゃ穏やかな顔はもっと素敵なわけだ。

…あれ?

何が素敵だって?おかしいでしょ。彼がいつ穏やかな顔したっていうのよ。…何だろうこの感じ。私この人と初対面なはずなのにどこか懐かしいような…。全然怖くない。
私が沢田さんの後ろで首を捻っていると彼に応える低い声が耳に届いた。




「…この僕を足に使うなんていい度胸だよね、沢田綱吉。覚悟は出来てるのかい?」

「仕方ないじゃないですか。今、車全部出払ってて一番近くにいたの雲雀さんだったんですから」

「いい加減君も車持ちなよ」

「えぇ〜。でも俺あんまり外出しないし、出掛ける時は隼人が車出してくれるから必要性を感じないんですよね」

『いや、まさに今がその必要性を感じるとこじゃないですか沢田さん』




あまりに呑気な返答に思わず私はひょこっと沢田さんの後ろから顔を出して口を挟んだ。すると、雲雀さんの視線がこちらに移動し、その目が怪訝そうに細められる。




「…誰?」

「あぁ、紹介しますね。夢見紗佳ちゃん。ほら、この前スカウトしたって言った…」

「あぁ…これが」

『これ!?』

「まぁまぁ、紗佳ちゃん。雲雀さんはこういう人だからさ」




これ扱いに憤慨して物申そうとした私は肩に置かれた沢田さんの手によって止められる。こういう人だからって何じゃそりゃ。そんなもんは理由にならんのだよ君!!




「じゃあ、そろそろ行こうか。雲雀さんよろしくお願いします」

「何言ってるの。車持ってきてあげたんだから運転代わりなよ。僕はやらないよ」

「えぇ〜」

『華麗にスルーか!!!!』




いつもの読心術で私の抗議の声は聞こえてるはずなのに、あえて聞こえない振りしたよこの人!!っていうかもう出発?パーティーは夜からなんだよね…?




「行ってすぐ始められる訳じゃないからね。向こうに行ってからの準備があるんだよ」

『…そーゆーとこはスルーしないんですね』

「必要なことだからね」

『私の抗議は必要なことではないと!?』




はぁ、もう分かったよ。この人に抗議したところで埒があかないってことは。あ、そうだ。パーティーが夜からなら帰りが遅くなるって連絡しなくちゃ。私は車に乗り込もうとしている沢田さんに声をかけた。




『ちょっと待って下さい。今日帰りが遅くなるって管理人さんに連絡してもいいですか?』

「…管理人?」




怪訝そうな顔をして聞いてくる雲雀さんと、きょとんとした顔の沢田さんに頷いて事情を説明する。




『私、学生寮で一人暮らししてるので何かある時は管理人さんに連絡することになってるんです』

「…ふ〜ん、そう」




身寄りのない私はその学生寮でお世話になっているのだ。うちの高校は孤児に優しくて本当に助かる。
大して興味のなさそうな返事をしたわりには何か思案顔でこっちを見てくる雲雀さんを横目に携帯で連絡を済ませると私たちは車に乗り込んて会場へと出発した。










やっと雲雀さん登場。




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