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「マフィア同士の親睦を深める食事会をやるんだよ」

『食事会?』

「まぁ、食事会といっても立食パーティーみたいなものなんだけどね」




マフィア同士の親睦を深めるだなんて、同盟ファミリーの集い的なものだろうか。だとしたらボンゴレファミリー主催だし、少なくとも安全性は保証されていそうだった。




『そんなことですか?別にいいですけど…』

「うん、助かるよ」




にっこり笑って頷く沢田さん。受付だなんて、誰でもよさそうなのに。




『それで、いつなんですか?そのパーティーは』

「今夜」

『今夜!?いくらなんでも急過ぎじゃ…』

「いやぁ、ホント紗佳ちゃんが見つかってよかったよ。受付って意外と大変だし、俺たち皆忙しいからさ。そっちまで手が回らないんだよね!!」

『要するに人手不足だったって事ですか!?』




本当にやる事が唐突だなこの人たちは。それに折角のパーティーなのに主催側が野郎ばっかりじゃ華がなくてつまらないだろ?とか言われてもねぇ…。呆れてものもいえないってのはまさにこのことだ。私が頭を抱えていると、お屋敷の扉が開いて中から二人の女の人が出て来た。うわ、美人。




「じゃあツっくん私たちもう帰るね」

「え、もうそんな時間?送るよ」

「大丈夫です。ハルたち寄り道しようと思ってますし…ってはひ?こちらの方はどちら様ですか?とってもキュートです!!」

『え?私!?』




さっきまで沢田さんとお茶でもしていたような流れで茶髪ロングのお姉さんが彼に話しかける。黒髪ショートのお姉さんも素敵だなと思っていると、バチッと目が合ってしまった。それにしても、キュートだなんてはじめて言われたよ。この人たち誰だろう。沢田さんの彼女かな?ツっくんとか言ってたし、あの茶髪ロングの美人さんが彼女の可能性大だ。




「あぁ、紹介するよ。こちら俺の中学からの知り合い。笹川京子ちゃんと三浦ハル。京子ちゃん、ハル。こちら夢見紗佳ちゃん」

『こんにちは』

「はじめまして。笹川京子です」

「三浦ハルです」




ペコリと頭を下げて挨拶をするとお姉さんたちはにっこり笑って自己紹介してくれた。うわぁ、すっごい目の保養だわこれ。でも、次に黒髪ショートのお姉さんから発っせられた言葉にびっくりする。




「それにしても、ツナさん。知り合いだなんてよそよそしいです。ハルは将来ツナさんの妻になるんですから!!」

『妻!?』




まさかの黒髪ショート美女さんの方が沢田さんの彼女だった!!?




「…紗佳ちゃん変な誤解しないでよ。冗談だからね」

『へ?あ、そうなんですか。じゃあやっぱりこちらの方が…』




冗談だという沢田さんに今度は茶髪ロングのお姉さんに視線を向けると、彼女はにっこり笑ったけど首を横に振った。




「ごめんね。違うの」

「はひ!!私より京子ちゃんの方がツナさんの彼女に見えました!?ハル、まだまだ修業が足りないんですかね?」

「ハル、いい加減にしてくれよ。紗佳ちゃんが困ってるじゃないか」




すかさず突っ込む沢田さん。別に私困ってないけど。まぁいいや。それにしても、三浦ハルさんって面白い人だな。ここには面白い人しか集まらないんだろうか。でも、笹川京子さんは凄く普通そうだ。あれ?笹川?




『あ、あの。笹川京子さんってまさか…』

「ん?あぁ、昨日紹介した笹川了平の妹」

『妹さん!?』

「紗佳ちゃんの事はお兄ちゃんから聞いてるよ」

『お、お兄ちゃん…って、え?えぇ!?』




ニコニコしながら話す彼女に驚きが隠せない。まさに美女と野獣。へぇ、あの熱血ボクサーにこんなに美人な妹さんが…。意外に思いながらもそれから暫くたわいもない会話をした後で、私たちは手を振りながら帰っていく二人を見送った。
彼女たちが見えなくなると私は沢田さんに向かって口を開く。




『っていうか、私以外にもいるじゃないですか受付やってくれそうな人!!』




私をスカウトしたのは人手不足だからなのかと思ったが、案外そうでもないんじゃないだろうか。折角のパーティーなのに華がなくて云々の話ならば私じゃなくても全然問題ない気がした。寧ろ華としての役割なら私より彼女たちの方が適任だと思う。
すると、沢田さんは何言っちゃってるんだこの子は的な目でこっちを見てきた。え、私何か変な事言ったかな。




「バカだなぁ紗佳ちゃんは。彼女たちは一般人だよ?一般人をまがなりにもマフィアが集まるような所には危険で連れて行けないでしょ」

『私だって普通に一般人なんですけどぉ!!!??』




ため息と共に吐き出された言葉に思わず突っ込む。だってそうでしょ。同じ一般人なのに、何で笹川さんたちはダメで私はいいの!?え、差別?憤慨した様子の私を見てまた沢田さんがため息を吐いた。なんだよもう。それ地味に傷つくんだけど。




「何のためらいもなく拳銃を発砲する女子高生を普通一般人とはいわない」

『だって!!あれは…』

「やらなきゃやられるところだったって?」

『そうです!!』




どう見たってあれは正当防衛に間違いないのに。咄嗟に出たあの反応を沢田さんは普通じゃないと言った。そんなことにいもん!!人間誰でも死ぬ気になれば何でも出来る!!




「そうは言うけどね、普通咄嗟にあんな動きは出来ないもんだよ」

『いや、言ってないですよね!?思っただけで!!』




もうおきまりになりつつある所業に突っ込みを入れながらも私は内心ひやっとした。読心術でも読めないようにと閉じ込めている奥底を見透かされたような気がして。彼の目は誤魔化せない。そう錯覚してしまうようなオーラを彼は持っていた。超直感。それがボンゴレのボスの特徴らしいけど、これは読心術よりやっかいかもしれない。甘く見ないほうがよさそうだ。そんな私の焦りを知ってか知らずか沢田さんは言葉を続ける。




「彼らの事、質の悪いヤクザだとでも思ったんだろうけど、あれでも小さいなりに歴としたマフィアだからね」

『そうだったんですか!?』




拳銃発泡云々を差し引いてもそんなに簡単に逃げ切れるような相手じゃないと言う沢田さんの言葉に驚きのリアクションを取った私を、リボーンさんが何か言いたげに見てたけど、何も言ってこなかったから特に気に留めることはしなかった私は、当然この時点で既に自分が大きなミスをしていたなんて事にも気付くわけなかった。










リボーンは大人の方。




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