4 …−コト 越「はい。終わり」 ピンセットを置いて越前は華綺に向き直る。 『あ、ありがとう…』 越「別に」 涙目でお礼を言う華綺に越前は素っ気なく返事した。 桃「ホント悪かったな、あんた」 『いえ、気にしないで下さい』 …何か、後半コットンで拭く時の力が強くなったのは私の気のせいですか!?い、痛かったぁ〜。…にしても、 『へぇ、上手だね〜。さすがスポーツマン!!』 華綺は手当てされた自分の手をまじまじと見つめて言った。 越「これくらい出来て当然でしょ」 『そっかなぁ。っていうか、褒めてんだからもっと喜べば?』 越「嬉しくないし」 『感情を素直に表現出来ないタイプなんだね』 越「あんたは全部顔に出過ぎだけどね」 『……』 桃「おいおい、越前。あ…そーいや、名前まだ言ってなかったな」 またしても桃城が越前をなだめると、思い出したように桃城が口を開いた。 『桃先輩と越前くん』 本当は「桃ちゃんとおチビ!!」とかって言いたいとこだけどね。一応初対面ってことにしておかないといけない気がする。 桃「おぉ!?何で知ってんだ?」 越「普通に呼びあってたじゃないスか。俺たち」 桃「あ…そうだったな」 『ブッ、先輩面白い!!…それにしても静かですね、学校』 桃「あぁ、今は朝練の時間帯だからな」 『…そうなんですか』 成る程、朝練の時間帯だからあんなに人通りが少なかったのか…。少なくて良かった。きっと突然あそこに出現したに決まってるんだから。大騒ぎになるとこだった。 『…って朝練!?』 越「そう言ったじゃん」 『いいんですか!?2人共こんな所にいて!!遅刻しちゃうんじゃないですか!!!?』 越「遅刻ならもうしてる」 『だったら…』 桃「いやぁ、実を言うと、さっきあんたにぶつかった時にはもう既に遅刻だったんだ」 越「そーゆーこと。どっちにしろ遅刻ってわけ」 『そっかぁ…良かった。私のせいじゃなくて』 本気でホッとする華綺。だって、悪いじゃない?私のせいで走らされちゃ。 越「…グラウンド何周っスかね?」 桃「さぁな」 『……』 …−ガラッ 「あら、怪我人?」 Back |