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…−コト


越「はい。終わり」




ピンセットを置いて越前は華綺に向き直る。




『あ、ありがとう…』

越「別に」




涙目でお礼を言う華綺に越前は素っ気なく返事した。




桃「ホント悪かったな、あんた」

『いえ、気にしないで下さい』




…何か、後半コットンで拭く時の力が強くなったのは私の気のせいですか!?い、痛かったぁ〜。…にしても、




『へぇ、上手だね〜。さすがスポーツマン!!』




華綺は手当てされた自分の手をまじまじと見つめて言った。




越「これくらい出来て当然でしょ」

『そっかなぁ。っていうか、褒めてんだからもっと喜べば?』

越「嬉しくないし」

『感情を素直に表現出来ないタイプなんだね』

越「あんたは全部顔に出過ぎだけどね」

『……』

桃「おいおい、越前。あ…そーいや、名前まだ言ってなかったな」




またしても桃城が越前をなだめると、思い出したように桃城が口を開いた。




『桃先輩と越前くん』




本当は「桃ちゃんとおチビ!!」とかって言いたいとこだけどね。一応初対面ってことにしておかないといけない気がする。




桃「おぉ!?何で知ってんだ?」

越「普通に呼びあってたじゃないスか。俺たち」

桃「あ…そうだったな」

『ブッ、先輩面白い!!…それにしても静かですね、学校』

桃「あぁ、今は朝練の時間帯だからな」

『…そうなんですか』




成る程、朝練の時間帯だからあんなに人通りが少なかったのか…。少なくて良かった。きっと突然あそこに出現したに決まってるんだから。大騒ぎになるとこだった。




『…って朝練!?

越「そう言ったじゃん」

『いいんですか!?2人共こんな所にいて!!遅刻しちゃうんじゃないですか!!!?』

越「遅刻ならもうしてる」

『だったら…』

桃「いやぁ、実を言うと、さっきあんたにぶつかった時にはもう既に遅刻だったんだ」

越「そーゆーこと。どっちにしろ遅刻ってわけ」

『そっかぁ…良かった。私のせいじゃなくて』




本気でホッとする華綺。だって、悪いじゃない?私のせいで走らされちゃ。




越「…グラウンド何周っスかね?」

桃「さぁな」

『……』




…−ガラッ


「あら、怪我人?」







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