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「柚樹〜好きやー!!」

『あー…、はいはい』




私は保護者か。
何でくる日もくる日もまとわりついてくるこの野生児みたいな男を相手にしなきゃいけないんだ。廊下を歩きながら思わずため息をつく。

彼の名前は遠山金太郎。東京から四天宝寺中学校に転入して来た私に席が隣になったというのもあるけれど、最初に声をかけてくれた人だ。その時はまさか彼がこんな野生児みたいな人だとは知りもしなかったけれど、それからというものどうやら私は彼に気に入られてしまったらしく、こうしていつも後を付いてくるようになってしまった。しかも声が大きいから彼と一緒にいるととても目立ってしまう。早く学校に慣れるという点では、友達もすぐにできたし感謝はしているけれど、周りから注目されるのははっきり言って苦手だ。できればもう少し静かにしてほしい。
しかも、す…好きだなんて!!自分が何を言ってるのか分かってるんだろうか。まったく、言葉の意味を理解しているのか疑いたくなる。




「柚樹〜」

『あーもう!!たこ焼き買ってあげるから大人しくして!!』




でも、そう思いつつも結局いつも彼の好きだというたこ焼きをエサにその場を収めようとしてしまう自分がいた。














たこ焼き




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